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相続で家族が大モメ…!「争族(あらそう・ぞく)」が急増するワケ

新・争族(あらそうぞく)の現場から

増加する「争族」

相続を巡る争い、いわゆる「争族」が増加の一途をたどっている。

最高裁判所が毎年刊行している「司法統計」によると、平成 27 年度に全国の家庭裁判所が扱った遺産分割事件は 12,615 件。平成20年は10,202件だから、7年で23%も増加していることになる。

私は現在、「アレース・ファミリーオフィス」という会社で代表を勤め、個人を対象に資産管理などのサポートを行っているが、相続対策は業務の中心と言っていい。

相続でもめるケースが増えた理由は明白で、普通の人が相続争いの世界に参入してきたことがある。かつて相続争いと言えば、資産家のものと相場が決まっていたが、今ではかなり敷居が下がっている(つまり、少額でも揉める、ということだ)。先の司法統計を見ても、遺産の価額1,000万円以下のケースは全体の約32%を占めていることが、そのことを如実に表していると言っていい。

 

では、なぜ、ごく普通の人まで相続で揉めるようになったのか。その背景には、遺産や家に対する意識の変化がある。

従来は、長男が全ての財産を相続するのが普通だった。いわゆる長子相続で、それ以外の兄弟は一切財産を受け取れないことも珍しくなく、それに対して長女次女や次男が文句を言う例もなかった。

しかし、今は違う。兄弟は同じ権利を持っている。相続でも平等に財産を分けるべきだ、と多くの人が考えるようになった。要は権利意識の高まりだ。

そうは言っても旧来型の思考を持ち続けている世代も残っている。比較的年配の方、男女でいえば男性の方が多いとは思われるが、特に女性については「財産をよこせとはなにごとか」というわけだ。こうした意識のギャップが、相続という場面で対立を生み、争続に発展するケースが増えたのだ。

特に相続人の中に「働いていない人」がいると、もめる可能性がきわめて高い。経済的に問題を抱える失業中の人やニートはもちろんとして、定年して年金暮らしの高齢者も含まれる。長寿化が進んで。90才で親が他界する例は多いが、この場合子供も全員が年金暮らし、ということも珍しくない。

こうしたケースでは、ほぼ確実に揉める。老後の生活に不安を感じていない人は皆無と言えるだけに、もらえるものは1円でも欲しいと考える。しかも高齢者は体面を気にしない人が少なくないため、欲と欲がぶつかり合うことになるわけだ。

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逆にいえば、親が70才手前で亡くなった場合、子供達はまだ現役で働いているため、もめる危険性は低い。私の経験上は、たいていは品良く終わる。その意味で、高齢化社会が進んでいることも、争族が増えている背景と言えるし、当分この傾向は変わらないと言っていいだろう。