RADWIMPS衝撃の愛国ソング「HINOMARU」を徹底解剖する

「日出づる国の 御名の下に」…
辻田 真佐憲 プロフィール

2020年に向けて、愛国ソングは増加する?

そもそも「HINOMARU」は、6月6日に発売されたRADWIMPSのニューシングル「カタルシスト」のカップリング曲である。

「カタルシスト」は、2018年のFIFAワールドカップを控え、フジテレビ系のサッカー番組のテーマソングに決まっている歌だ。

スポーツの試合はもともとナショナリズムを刺激しがちであり、応援歌などにもそうした要素が紛れ込みやすい。

『カタルシスト』通常盤

そのため、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、「われこそ」と愛国的な音楽が続々と作られてもおかしくない。

差異化を図るため、もっと過激で、直接的なものや、あるいはもっと巧みで、自然に受け入れられるものも出てくるかもしれない。

そこにはかならずしも思想信条は必要ない。国策イベントやナショナリズムに興味がなくても、作詞者、作曲者などがビジネス志向で積極的に愛国的な音楽を大量生産する――これはかつてこの国で軍歌が蔓延ったときの状況そのものだった。

エロ・グロ・ナンセンスが流行ったときには、モダンな流行歌を作り、満洲事変や日中戦争が勃発したときには、勇ましい軍歌を作る。

軍歌もまたビジネスの対象だったのであり、流行りの歌手が歌う、大手レコード会社の有力な商品のひとつだった。

今回の「HINOMARU」は「軍歌っぽい」と形容された。

それは表現からいわれたのだろうが、むしろその発生の経緯にこそ軍歌と比較すべき部分があるように思われる。

そして、作者の真意はさておき、愛国歌がビジネスチャンスと結びついているのだとすれば、なかなか止めることは難しい。

したがって続出する愛国歌については、すでに何度も述べてきたとおり、受け手の側で「またこういうのが出てきたか」と受け流し、影響力を削ぐしかないのである。

 

「右も左もなく」をいい意味に

ところで作者の野田洋次郎は、ツイッターで「HINOMARU」についてコメントしている。最後にこれに触れておきたい。

野田はこの歌について、「日本に生まれた人間として、いつかちゃんと歌にしたいと思っていました」「僕はだからこそ純粋に何の思想的な意味も、右も左もなく、この国のことを歌いたいと思いました。自分が生まれた国をちゃんと好きでいたいと思っています」「まっすぐ皆さんに届きますように」などと述べている。

以上を読む限り、「この歌は敢えて作ったもので、愛国への皮肉ではないか」などとの裏読みは必要なさそうだ。