紀州のドンファンが愛犬イブの墓を作った時の「本当の心境」

「もし、私が死んだら…」
吉田 隆

そしてイブちゃんが死ぬと――社長は焼かないでここに入れると言い出した。しかし、そこの下には岩盤があり、深く掘ることができない。

「社長、焼かないとダメですよ」
「嫌だ」

と、子供のようにゴネる。

 

社長は地元新聞にイブの死亡広告も出した。「野崎イブは永眠しました」というもので、愛犬ということは一切書かれていない。だからそれを読んだ人たちは野崎社長の母親が亡くなったと思っていたという。

結局、葬儀は4日間延期し、12日に従業員らも集まって、家の裏に穴を深く掘って埋めた。その地面部分には白い砂を撒いて、イブちゃんの墓と墓標を建てて、毎日社長は線香をあげていたという。

イブちゃんがいなくなったことで社長の心のなかに空いた穴は、どれほど大きかったか。