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「夫が先に逝ってよかった…」は正解か。妻たちの意見と結論

答えがないことだけど…

曽野綾子さんの著書『夫の後始末』が19万部を突破した。過酷な介護の日々を経てもなお、「見送る側」でよかったと言い切る曽野さんの結論に、先立たれた妻たちの多くが共感している。

つらい思いをさせずに済む

曽野綾子さん(86歳)の夫で、作家の三浦朱門氏が91歳で亡くなったのは、昨年2月3日のことだった。

曽野さんは、ベストセラーになっている『夫の後始末』(講談社刊)のなかでこう書いている。

〈私は夫が先に亡くなってよかったと思っている。彼は日本のいい時代に生き、いい時代に死んだ。(中略)私と違って手抜き料理はできないから、後に残れば実にまずいご飯を食べることになっただろう〉

5月28日、曽野さんは、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演し、生前の介護の日々から、葬儀や後始末までを終始にこやかに振り返り、「幸せな最期だったと思います」と、穏やかな表情で語った。

三浦氏の死後しばらくは〈疲れを取るだけでいっぱいだった〉という曽野氏だが、1年4ヵ月あまりの時を経て〈夫が先に亡くなってよかった〉という「結論」にあらためて至ったのだろう。

どんな夫婦でも、いずれは片方が残される。夫と妻のどちらが先に逝けば、双方にとって幸せなのか。

「その時」になってみないとわからない問いにも思えるが、曽野さんと同じように夫に先立たれた妻たちは、みな一様に「夫が先でよかった」と、口をそろえる。

 

TBS系の長寿クイズ番組『クイズダービー』での活躍で広く知られた漫画家、はらたいら氏('06年に63歳で死去)の妻・ちず子さん(74歳)が言う。

「亡くなったばかりのころは『先に逝く人はズルいなぁ』としんみりもしましたけれど、10年以上がたったいまは、自分があの人を『見送る側』でよかったと、心から思っています」

はら氏は、仕事ばかりで家庭のことは関知しない、典型的な「昭和の男」だったという。

「結婚したのは、あの人が20歳で私が19歳のとき。一緒になる際にあらたまった態度で言われたんです。

『僕は仕事が第一。2つ目は仕事上の付き合いと、友人関係。家庭は3番目だ』と。『結婚しても毎晩飲みに行くから、家のことは一切やらないぞ』という宣言でした。そして、本当になんにもしない人だった(笑)」

はら氏は、体調を崩して病院に行くことも、銀行におカネを下ろしに行くことも一人ではできず、ちず子さんがいつも付き添っていたという。

「一事が万事そんな様子でしたから、自分でご飯を炊いたり洗濯をすることなんて、想像もつかないでしょう。

43年間、私は彼の『母親』をやっていたんだなと、つくづく思います。もし私が先に死んだとしたら、あの人はひとりでのたれ死んでいたかもしれない(笑)。あの人につらい思いをさせずに済んで、本当によかった」