孫正義が語る「超知性時代に生き残れる人」の分岐点

30年後、あなたは何をしているか
マネー現代編集部 プロフィール

人工知能を甘く見るな

孫氏はみずから思い描く「未来像」についても具体的に話した。たとえば、「30年後には人類はほとんどの分野で人工知能に勝てなくなる」と言う。

さて、今日のスピーチの冒頭で、マイクロチップの写真をみて感動したという話をしました。実は人間の脳細胞は0と1の組み合わせです。みなさんの頭には脳細胞ということでニューロンが入っています。ニューロンというのは人参に生えているヒゲのようなイメージです。

 

このニューロンがくっつくと弱い電流が流れて1になり、離れると0になる。まったく同じ機能をやっているのがトランジスタです、つまり、マイクロコンピュータのなかにはトランジスタがあって、くっついた離れた、電流が流れた流れない、ゼロイチの組み合わせですべてのプログラミングがなされている。

このトランジスタの数が脳細胞のニューロンの数を超えるのはいつだろうかと、私は20年前に推論しました。そのときは2018年だと結論づけました。どこかのスピーチのなかにもあります。実際に2018年になって、ついにトランジスタが1チップの中に300億個という時代がきたわけです。

予測通り、脳細胞の数とトランジスタの数がクロスオーバーする年が今年だったんです。あらゆるところで毎日のように人工知能のニュースがでてきますが、これからますます加速していきます。

でも、人間の脳のほうがまだ賢い部分もある。でも、囲碁は負けた。天気予報も人間は負けている。部分的に人工知能のほうが人間のチャンピオンよりも強くなってきたということが言えます。全部の分野で人間の脳を超えた訳ではありません。でも、安心するのはちと早い。

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30年後に人間はなにをすべきか

なぜならば、今から30年後にどうなるかということだからです。ムーアの法則で、1.5年後ごとにだいたいトランジスタの数は倍になっています。

30年後には今から約100万倍になっている。いまは1チップのなかに入っているトランジスタの数と、我々の大脳のなかにあるニューロンの数がクロスオーバーしただけなので、部分的に負けているだけで済んでいる。

ただ、30年経ったら敵は100万倍になるわけです。そういう時代がきたならば、1チップのコンピューターと人間の脳細胞のどちらが強いか。たいていの分野で抜かれるんです。

ほとんどのジャンルで人間の知恵は、人工知能の知恵に敵わなくなっていくわけです。だから、今年になってクロスオーバーしたことは重要なことではないんです。

30年後になったときに、さて人間は何をすればいいのか。人間にとっての仕事とは何か。

今日の2時間というのは、みなさんにとっては案外重要な2時間だと思うんです。僕は毎日こういった話をしているわけではないんです。ここまで深く2時間みっちり話すのは久しぶりです。今日はラッキーだと思ってください。