孫正義「就活生よ、君たちはどう生きるか」感動のスピーチを公開

「僕の人生を変えた1枚の写真」
現代ビジネス編集部 プロフィール

涙があふれて止まらない

そんな孫氏の志は、「情報革命で人々を幸せにすること」。そう思うようになったきっかけは、アメリカでの大学生時代にあったと言う。

そもそも私は、どういうきっかけで人生の岐路に、思い至るようになったのか。まだ私がカリフォルニア大学バークレーの学生の頃です。当時のことはすごく良く覚えています。

道を歩いていて、そこには落ち葉がたくさんありました。そこで、車を降りて、『ポピュラーエレクトロニクス』という電子機器関連の雑誌をパラパラとめくっていたんです。そうしたら摩訶不思議な幾何学模様のような写真が1ページ紹介されていました。

「何だろう?」と、とっても不思議に思ったんです。そして、それを1ページめくってみると、指先の上にのったマイクロチップの写真が現れた。なんと、この小さなチップがコンピュータだというんです。

 

マイクロコンピュータが生まれたばかりの時だった。当時の私は、IBMなどの大型コンピュータのプログラミングを授業の一環として勉強していました。しかし、まさかどでかいコンピュータがこんな小さなワンチップに化けるなんて、当時はまったく思いもよりませんでした。

このことを知った瞬間、私は雑誌を握っていたんですけど、両手の指がジーンと痺れたんです。手足の指が全部痺れてジーンときた。

みなさんも映画、音楽、本に出会ったとき、感動のあまりにジーンと痺れることがありますよね。あの痺れる現象は、一瞬で血液が脳に集中するからだと思います。手足の毛細血管の血流が乏しくなった結果だと僕は勝手に思っています。

まさに、そのような状態で、涙があふれて止まらなくなったんですね。

photo by iStock

立ちすくんでしまった。

ついに、マイクロコンピュータが人間の脳を超える。しかも、それがあらゆる人々の手に入る。大学や政府の大型コンピュータではなくて、一般の人々が扱えるほど安くなり、あらゆるところにあふれるようになる。それが人間の脳細胞の働きをいつか超えると予感したんです。

その人生を変えた写真はハサミで切り取って透明な下敷きに入れていた。

毎日持ち歩き、寝るときは枕の下に敷いてほうずりしながら寝ていた。リュックサックの中にも入れて、勉強するときもノートの下に敷いていた。もう毎日ことあるごとに見つめて、にこっとしていた。おそらくその姿を見ていた隣の人は気持ち悪いと思ってたんじゃないかな。それくらい感動して、半年間毎日抱いて寝ました。あんまり大事にしすぎてどこかになくなっちゃったんですけどね。