米朝首脳会談には、実は「トランプの命運」も懸かっている

アメリカ内政、「大揺れ」だった
海野 素央 プロフィール

会談にはトランプの政治生命もかかっている

さて、われわれ日本人も薄々感づいている通り、トランプ大統領は北朝鮮に対する経済支援を、すべてアジアの国々に負担させようと考えています。ホワイトハウスの記者団には「米国が負担する必要はない」と主張したうえで、「日本、韓国、中国に支援の準備をするように伝えた」と述べました。「俺が北東アジアに平和と安全をもたらすんだ。あとは君たちがしっかり面倒を見ろ」というわけです。

以前、ジェリー・コノリー米下院議員(民主党・バージニア州第11選挙区)の首席補佐官は、筆者に「米国民は北朝鮮に税金を使いたくないと思っている」と語りました。「北朝鮮の経済支援には、米国民の税金は一切使わない」というトランプ大統領のメッセージは、当然ながら、秋の中間選挙を意識した有権者へのアピールです。

大抵の米国民にとって、北朝鮮問題など地球の反対側の遠い世界のことですから、日中韓の3カ国に経済支援を実施させるというトランプ氏の提案は大歓迎されるでしょう。とりわけトランプ支持者は、その交渉能力を再認識し、称賛することは間違いありません。

 

人間は忘れやすい生き物です。2016年の米大統領選挙の際には、「トランプ氏は過去の納税申告書を開示すべきだ」という議論が起こりましたが、今ではすっかり忘れ去られています。同様に、トランプ氏が外交・安全保障で大手柄を挙げ、好調な経済を維持していけば、米国民にとってロシアゲートもそれほど重要ではなくなるのかもしれません。

米朝首脳会談は、北東アジアの命運だけでなく、トランプ大統領自身の命運をも大きく左右するのです。