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米朝首脳会談には、実は「トランプの命運」も懸かっている

アメリカ内政、「大揺れ」だった

米国内を揺るがす「スパイゲート」

米国内でトランプ陣営とロシア政府との共謀疑惑「ロシアゲート」の捜査が進む中、米朝首脳会談を間近に控え、ドナルド・トランプ大統領が反撃を始めました。自らの陣営に対するスパイ行為、いわゆる「スパイゲート」をぶち上げたのです。

発端は、5月20日にトランプ大統領がTwitterに書き込んだつぶやき。大統領は2016年の米大統領選挙において、「FBIと司法省が政治目的で、トランプ陣営にスパイ(情報提供者)を潜入させて監視していたか、調査を同省に要求した」と述べました。

ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙などの米メディア及びBBCニュースによると、この「スパイ」の正体は、共和党支持者でケンブリッジ大学名誉教授のステファン・ハルパー氏。ハルパー教授はトランプ陣営の幹部にアプローチし、同陣営とロシア政府との関係を聞き出そうとしたといわれています。

これに対して、下院情報特別委員会民主党筆頭理事のアダム・シフ議員は「証拠はない」と断言し、疑惑を否定しました。しかし、トランプ大統領は直ちにこの機会を捉え、「史上最大のスキャンダルだ」とコメントを出して、「スパイゲート」と呼びました。「ロシアゲート」という言葉に対抗する意図が明らかです。

トランプ大統領は、ロシアゲートの捜査を行っているFBIの名声に傷をつけて、モラー特別検察官の捜査に対する信頼を低下させ、国民の関心をロシアゲートから逸らすことを狙っています。

 

日本では、トランプ大統領関連の報道は北朝鮮がらみがほとんどですが、トランプ氏は今年秋に初めての中間選挙を控えています。こうした中でも、与党共和党候補の応援のために各地で遊説を行い、「連邦議会に共和党議員を増やそう」と訴えています。自身のツイッターもフル活用して、「(モラー特別検察官が)野党民主党に有利になるように中間選挙に介入するだろう」と、牽制に余念がありません。

中間選挙は、米国の大統領にとって内政上最大の難関といえます。過去20回の中間選挙のうち、現職大統領の党が勝利を収めたのは、ビル・クリントン政権(民主党)の98年、ジョージ・W・ブッシュ政権(共和党)の02年と、わずか2回です。

当時の投票日直前の支持率は、順にクリントン大統領が66%、ブッシュ大統領が63%で、いずれも60%台でした。しかし、ロイター通信とグローバル世論調査会社イプソスが行った共同世論調査(18年5月25-26日実施)によれば、最新のトランプ大統領の支持率は44%です。

トランプ氏としては、中間選挙までに支持率を少なくとも16ポイント上げなければ、「安全圏」に入ったとはいえません。しかし現在、すでに44人もの共和党現職議員が引退・立候補の取りやめを公表しており、共和党はますます苦戦が予想されます。

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仮に11月6日の投票日の間近に、モラー特別検察官がロシアゲートに関する最終報告書を発表すれば、多かれ少なかれ中間選挙の結果に影響を及ぼすことは間違いありません。

そこでモラー氏は、選挙に影響を与えない時期を選択するのではないか、との報道があります。ただし、いつ最終報告書を出すにしても、その前に、トランプ氏に対して事情聴取を行うことが不可欠です。

トランプ大統領は、露骨にモラー特別検察官の事情聴取から逃れようとしています。モラー氏が率いる捜査チームに関して、トランプ氏は「(捜査チームの)13人は『怒れる民主党員』で、捜査は不公平だ」と自身のツイッターに再三、書き込んでいます。しかし、モラー氏は実は共和党員です。