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現役東大生が教える「論理的に考える力」の鍛え方

東大入試で問うのは「知識量」ではない
西岡 壱誠 プロフィール

単純に考えて、北海道と青森県は日本で最北端の2県です。つまり、最北端だからこその風力発電ができる理由があるはずです。

そう思って考えていると、実はこの2県には「あるもの」がないんです。

それは、「台風」です。

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台風は太平洋側から夏に北上して来るので、北端の北海道と青森県は台風の影響が少ないんです!

「台風だと風がたくさん吹いて、いいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、風が強すぎるとプロペラが壊れてしまうんですね。

いかがでしょうか? 正解できましたか?

この問題は、別に特別な知識が必要なわけではありません。北海道と青森県が海に面していて土地が広いことなんて小学生で習うものですし、北海道と青森県に台風が少ないことなんて毎日のお天気ニュースを見ていれば理解できるはずです。

これらの最低限の知識を組み合わせることでこの問題は解けるわけですが、しかしいざ解答しようと思うと、なかなか難しい。解説を聞けば「ああそうか」とわかるものではあっても、解くのは大変です。

実は東大の問題というのは、こういう「知識の運用能力」を問うものばかりなのです。最低限の知識しか求めないけれど、論理的思考力がないとどんなに頑張っても解くことができない、そんな問題が多いのです。

 

どうすれば東大の問題が解けるようになるのか?

一体どうして東大生は、これらの問題を解けるのか? どのようにして論理的思考力を養成しているのか?

偏差値35から2浪してギリギリで東大に合格した凡人の私は、今日までその疑問の答えを探してきました。多くの東大生と交流し、語り合い、その思考の源泉を探る中で、「ある答え」を得ました。

それは、「能動的な学習」です。

東大生は、受身的な学習になることを嫌い、能動的に学ぶことをよしとする学生ばかりなのです。

例えば、本を読んだ時でも東大生の多くは感想を共有したがります。授業やゼミでは「本の読み合わせ」が非常に盛んですし、文芸系のサークルが他大学に比べて多いです。私が東大に入って一番盛り上がった飲み会のテーマは「源氏物語の最高のヒロインを決めよう」でした(ちなみに『花散里』に決まりました)。

本だけではなく、彼らはどこからでも能動的に学ぶ訓練というものをしています。ディスカッションやディベートが授業のカリキュラムの中に組み込まれていて、またそれらの授業が好きな学生も多いです。

また、東大の授業は「渋谷の駅の構造をシステム工学的に分析しよう」とか「ゴジラを情報メディア的に分析してみよう」とか、そういう日常のちょっとした疑問や事柄を学問の入り口に設定しているものが多いです。

そういう授業は終盤「では最寄駅の構造を分析しよう」とか「好きなメディア作品を分析しよう」とか、個人の興味関心に合わせて能動的に学ぶことをよしとすることが多いです。

そう考えてみると、東大の入試問題の中には「最近シャッター通り商店街が増えている理由を述べよ」とか「トランプゲームのブラックジャックの必勝法を計算せよ」とか「ジェンガを物理学的に計算せよ」といった、日常に根ざした問題というものが多く存在します。

どんな勉強をしている時でも、本を読んでいる時でも、または、ただ普通に生きている時でさえも、能動的に何かを学び取り、自分の頭で考えたことをアウトプットしたり、学問の入り口としてそこから思考する訓練をしている。

だから東大生は論理的思考力を有していて、東大の入試問題が解けるのでしょう。