大塚家具のビジネスモデル大崩壊で、銀行が備え始めた「Xデー」

ついに担保保全に走り出し…
高橋 篤史 プロフィール

不採算店を閉められない事情

まさに格言で言う「勘定あって銭足らず」の状態なのだが、では、分厚い自己資本は何に張り付いているのか。流通業なので大量の商品在庫を抱えていることは当然だが、大塚家具のバランスシートで目を引くのは多額の差入保証金である。

18年3月末でその額は50億円に上る。差入保証金は店舗の賃貸借契約時に大家に預けたもので、見方によっては金融資産と同等に考えることも可能だ。賃貸借契約が満了すれば戻ってくるからである。

 

しかし、事はそう簡単ではない。いざ店舗を閉鎖する際には必ず原状回復費用がかかるため一定額は相殺される。さらに契約期間途中の明け渡しとなれば、違約金が発生することもありうる。

大塚家具の場合、都心の大型フロアを借りているためそもそも多額の差入保証金が必要だったと見られるが、その契約期間が長期にわたる点も特徴だ。17年12月期の有価証券報告書によれば、差入保証金の償還までの年数は5~10年のものが15億7900円、10年超のものも8億9400万円に上る。差入保証金の半分は5年以上先にしか戻ってこない。

じつはこのことが不採算店の店舗リストラの柔軟性を奪っている可能性は高い。閉めたくても多額の損失(=差入保証金の取りっぱぐれ)が生じるため閉められないとのジレンマである。

その窮余の策がティーケーピーに余剰フロアを転貸して貸し会議室ビジネスに使ってもらうという前述の業務提携だが、その分の家賃引き下げ効果くらいしか期待できるものはない。自己株を買ってもらったのは転貸主である大塚家具がテナントのティーケーピーから差入保証金を取ったものと考えれば分かりやすい。

商品在庫はすべて担保に差し出した

大塚家具にとってまとまった換金可能資産は残りの投資有価証券21億5100万円くらいしかない(18年3月末)。それを売ったとしても前期並みの赤字が続けば手元資金は底をついてしまう計算だ。

となると、あとは借金をするしかないが、これもそう簡単な話ではない。前述したように大塚家具は金融機関との間でコミットメントラインを設定しており、昨年末でその額は50億円だ。が、もはやコーポレートの信用では借りられなくなっている。昨年の時点で商品在庫のすべて(約129億円)と差入保証金の一部(約13億円)を担保に差し出しているのである。

さらに今年に入ってからは一部金融機関の警戒心が高まっているようだ。というのも日本政策投資銀行は今年1月4日、3月9日、4月11日に計4本の動産譲渡登記を行っているのである。万が一、法的整理となれば登記の先順位が回収では物を言う。政投銀はそれをも想定し始め、商品在庫の担保保全に走っているのだろう。

そもそも大塚家具の現預金がここまで細った一因には配当の大盤振る舞いがあったことを見逃してはならない。お家騒動でプロキシファイト(委任状争奪戦)が行われた際、久美子氏は株主から賛同を得るため大幅増配を約束した。15年12月期、大塚家具はそれまでの倍増となる年80円配を実施。必要な原資は14億円超にも上った。