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1時間で1500万ドル集めた世界最大の仮想通貨取引所「次の一手」

仮想通貨なきブロックチェーンは誤謬だ
エミリー・パーカー, LONGHASH プロフィール

1時間で1500万ドルを集めた

バイナンスは2017年6月にICOを行い、2週間で1500万ドル(ビットコインやイーサリアムに相当する)を集めた。資金調達は5回行われ、毎回10分ほどで終わる。つまり合計すると、バイナンスは約1時間で1500万ドルを集めたことになる、とCZは語る。

彼は、このような超高速の資金調達によって、企業が自社の弱みに対処することができると考えている。「創業者がテクノロジーにうとければ、超優秀なCTO(最高技術責任者)を雇えばいい」。確かに、そう見るとICOを好意的に解釈できる。

スタートアップ企業は、新たな資産を使ってワールドクラスのCTOを獲得することが可能になる。だが、仮想通貨の業界で「成功の証」であるとして人気の高いランボルギーニの購入に資金を当てて、姿を消してしまう者もいる、という見方もある。

だがCZは、ベンチャーキャピタルの投資でも同じことが起こりうると指摘する。

「ベンチャー投資家がスタートアップ起業家と共謀して、多額の資金を投資した後に山分けし、両者ともスポーツカーを購入したりと、よからぬことをしているのを私は見てきた」と、彼は言う。

クラウドソーシングによるICOは、むしろ詐欺に対して強いとCZは言う。「ベンチャー投資会社1社よりも、1000人を騙すほうが難しい。多くの人がクラウドソーシング、クラウド・デュー・デリジェンス(適性評価)、クラウド・インフォメーション・ソーシング(情報収集)の力を過小評価している。言い換えると、クラウド(群衆)はベンチャーキャピタルが、時間に余裕がなくて見つけきれない情報を見つけ出すことが出来る」

100以上もの仮想通貨を自身の交換所で扱っているCZには、これまでに新しい通貨を審査する機会がたくさんあった。

彼いわく、仮想通貨のプロジェクトはそれぞれが独自のリスティング手数料を提案するが、支払われる手数料は幅広い。高額の手数料を支払うと、早く審査してもらえる。

NEOやイーサリアムのような、バイナンスがとくに優れていると評価した仮想通貨は無料で扱ってもらえる。だが、あまりに多くの通貨が出回っている中で、バイナンスはどのようにデュー・デリジェンス(適性評価)を行っているのだろうか?

「とても厳格なプロセスがある。だが、指針はきわめてシンプルだ」とCZは言う。

 

「プロジェクトのメンバー、来歴、製品とユーザー数に注目している。彼らが多くのユーザーを持ち、過去の実績があれば、詐欺をして姿を消す可能性は低い」と彼は言い、「私たちは製品そのものを見たい。コンセプトにはあまり興味がない」と語る。

CZは「結果はついてくる」というが、その主張には一理ある。

5月上旬、LONGHASH社のデーターチームは、バイナンスが取り扱いを始めた当初と比較して、10%以上価格が下がった仮想通貨は、バイナンスの扱う仮想通貨全体の、わずか16%だけだったことを発見した。この数字は、世界トップ5の仮想通貨取引所の中で、もっとも低い割合だった。

もちろんCZは、仮想通貨の未来については強気の姿勢だ。投資家のティム・ドレイパーが、2022年までにビットコインが25万ドルに達すると予測していることを引き合いに出したCZは「私が思うに、あの予測は控えめだ」と言った。

「彼が予測しているより、ずっと早く起こると思う」と語ったCZは、さらにこう付け加えた。「実際にビットコインは、政府が発行する通貨よりもっと大きなコミュニティに支えられている」

彼はまた、ブロックチェーン技術が仮想通貨とは別の用途で使われることに異議を唱えている。

「非中央集権に賛同するには、仮想通貨という誘因が必要だ。それなしには大勢がタダ働きをすることになり、ボランティア活動になってしまう。他に商業的な利益がない限り、長続きはしない」と、彼は主張する。

「多くの人が、仮想通貨を推進せずにブロックチェーンを発展させようと考えている。私に言わせれば、それはコンピューター不在でインターネットを推進したいと言うようなものだ。それは大間違いなのだ」(訳・山田敏弘)