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日大・田中理事長の「疑惑の真相」を下村元文科相に改めて質す

3年前のことは忘れたのか

下村元文科相が驚きの発言

「日大のドン」として支配体制を固める田中英寿理事長が、事あるごとに取り上げられ、説明に窮するのが「暴力団との関係」である。アメリカンフットボール部の悪質タックル事件の渦中も、西の山口組、東の住吉会トップとの関係が週刊誌などで指摘された。

「田中理事長と暴力団」を、最初に問題視したのは海外メディアである。3年前、ネット配信のヴァイス・ニュース、デイリー・ビースト、ブルームバーグなどが、山口組6代目の司忍(本名・篠田建市)組長とのツーショット写真を掲載。田中氏が日本オリンピック委員会(JOC)の副会長でもあることから、「ヤクザが、東京オリンピックで暗躍するのではないか」と、懸念した。

それを受けて、維新の党(当時)の牧義夫代議士(現・国民民主党)が、2015年4月15日、衆議院文部科学委員会で「田中疑惑」を追及。私は本サイトで、牧代議士のインタビューを交えて、「日大理事長兼山口組組長の写真が海外メディアで報じられ、下村文科相が調査を約束」と、題して報じた。(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43023

 

2010年に全国施行された暴力団排除条例以降、どんな形でも暴力団関係者と関係を持つのは禁止されたが、田中氏には過去に親しい交際を示す当該写真のような証拠や証言があり、その親しさがどのようなものであるかは、JOC副会長という重責を思えば確認されるべきことだった。

同時に、牧氏は「読売新聞」(13年2月1日付)に報じられた、受注業者からのキックバック問題を取り上げた。1回あたり10万円前後で50回以上、6年間に五百数十万円を受け取ったという報道は、田中氏への「常態化した上納金」を思わせるもので、見過ごせないのは当然である。

つまり、1枚の写真があぶり出したのは、田中体制のガバナンス問題である。それは悪質タックルが、有無を言わせない内田正人監督の圧力がもたらしたもので、その背景に内田監督が日大でナンバー2の常務理事という立場にあり、その強圧は、相撲部総監督という体育会を足場にする田中氏のもとで育まれたのと同じ構造である。

それをまったく理解していないか、あるいは「田中擁護」のために、あえてトボけたのかわからない発言をしたのが、下村博文元文部科学相である。

6月3日のフジテレビ系『報道プライムサンデー』に出演した下村氏は、悪質タックルがガバナンス問題に波及していることに関し、こう述べた。

「アメフト問題と日大のガバナンス問題は別に議論する必要があります。(中略)理事長の出身うんぬんと大学のガバナンスは関係ない部分。アメフトと一緒に論議する話ではありません」

想像力の欠如というしかないが、個人の見解としては許されるかも知れない。ただ、下村氏は牧質問の際、文科相だった。元塾経営者の文教族として第2次安倍内閣以降、約3年にわたって文部科学行政を司り、牧氏の質問に対しては逃げなかった。

「今回の事案を初めて知りましたが、文科省のなかにつくるか、あるいは大学のなかに第三者委員会をつくるか。いずれにしても私自身で調査をし、判断したい」

実際、動きは速かった。下村氏は、JOCと日大に対し、「田中副会長と反社会的勢力の関係について必要な調査を行なうように」と伝え、それを受けてJOCは、牧質問の13日後の4月28日、常務理事会を開いて、第三者委員会を設けて調査を実施。文科省に報告することを決めた。また、常務理事会に出席した田中氏は、山口組の司6代目など反社との関係について、「事実無根」と否定するとともに、写真は「合成して作られた」と、偽造の認識を示した。

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