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米朝首脳「ウィン・ウィン」関係で試されてしまう安倍外交の真価

惨敗したマクロンの教訓に学べ

日本にとって死活的に重要なこと

6月12日に予定される米朝首脳会談に向け、報道が国際的に過熱している。

世界は、トランプ氏と金正恩氏が織りなす筋書きなき「米朝劇場」の虜になっているようだ。ギャング映画の命が、抗争を繰り返す悪役のキャラクターにあり、彼らもまた人気者になるがごとし。

そのパブリシティの在り様を見る限り、トランプ米大統領も北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長もすでに「勝者」となり、両者の関係は「ウィン・ウィン」の状態になった感すらある。

トランプ氏も金正恩氏もお互いの利用価値を知ったに違いない。この新たな局面は、米朝関係、北朝鮮核問題の行方にも大きな影響を与えることだろう。

そして、目まぐるしく展開する米朝劇場の陰で、トランプ大統領就任時には予想も出来なかった国際政治の地殻変動が起きていることを見逃してはならない。

アメリカの伝統的な外交・安全保障政策とはかけ離れたところで、規格外(常識外れ)の米大統領であるトランプ氏の存在そのものが、東アジア情勢を大きく変貌させようとしているということだ。

この流れの中で、日本にとって死活的に重要な点は、安倍晋三首相の対米外交アプローチにいかなる審判が待ち受けているかということである。

どういうことか。説明したい。

安倍首相、トランプ大統領安倍首相の対米外交はいかなる帰結を迎えるのか?〔PHOTO〕gettyimages

「だまされやすい大統領」を操るのは誰か

米朝首脳会談をめぐっては憶測報道、推測記事が溢れているが、注目したいのは、トランプ外交に一定の規則性(パターン)が見え始めていることだ。

この点で、ニューズウィーク日本版(5月29日号)の記事「韓国とイスラエルそれぞれの操縦術 ~和平の機運が芽生えた朝鮮半島 イランとの戦争が危惧される中東 対極の情勢を招いた『空っぽ』のトランプ」は参考になる。

米政策研究所のダニエル・レビ氏によるこの記事は、トランプ氏のイラン核合意からの離脱(5月8日発表)と米朝首脳会談の受諾(3月8日)に影響を与えたのは、イランを敵視し続けてきたイスラエルのネタニャフ首相と、南北和平への道を長年追求してきた韓国の文在寅大統領がアメリカを自らの望む方向に引き込もうとしてきた働きかけによるところが大きいと分析する。

 

特に、文氏は米朝間の仲介役としてトランプ氏の虚栄心をくすぐり、巧みに動かしていると指摘する。

ここで思い出すのが、文大統領のゴマすりとも聞こえる発言だ。

文氏が4月末に「ノーベル平和賞はトランプ大統領が受け取り、われわれは平和だけもらえばいい」と述べたことに違和感を覚えた人も多いだろう。

しかし、こうした発言がトランプ氏をその気にさせ、米朝首脳会談実現への意欲をかきたてているように見えることも事実である。

レビ氏はこの記事で、「だまされやすい大統領を、よりうまく操れるのはどこの指導者か」と皮肉り、「今や各国はやり方次第で、アメリカの安全保障政策をどうにでも動かせる」と指摘している。