日本に「超一流」が育ちにくい理由~才能を伸ばす脳の育て方とは

日本人の脳にせまる④
中野 信子 プロフィール

インポスター症候群の特徴とは

インポスター症候群で、特に男性に出やすい特徴をもう一度、見直してみましょう。

-新しい経験に飛び込む勇気に乏しい
-探求心に欠ける
-自分の実力がどの程度なのかを知られまいとする
-他人からの否定的意見を回避する
-失敗や間違いを恐れる
-失敗や間違いを犯した場合には、発覚を避けようとし、そのためにウソをつくこともある

いかがでしょうか。

無条件にその子を褒めて育てる、という方法は一見いい育て方のように見えるのですが、もし、子どもがいずれこのような特徴を持つ原因をつくってしまっているとしたら、とても残念な結果です。

優秀な人ほどインポスター症候群にかかりやすい、というのは、そのもともとの能力の高さゆえに、無条件に褒められる経験が多くなってしまうことが原因でしょう。

 

優秀な人にとっては、平均的な教育環境で与えられる課題の多くは、何もしなくても良い点数が取れるものでしょう。つまり、もともとできてしまう人(優秀な人)は、平均的な環境の中で育ってしまうと、本当に自分が工夫したりがんばったりしたことはめったに褒めてもらえないのです。そればかりか、その工夫を理解すらしてもらえないことがほとんどかもしれません。

平均的な学力の子どもなら努力を褒めてもらえるような課題でも、何もしなくても「良い点数」を取ることができてしまう。するとどうしても、いつも「頭がいいね」と褒められることになってしまいます。

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前回ご紹介した研究は、「頭がいいね」と褒められた子では課題を遂行する意欲を失い、失敗を隠そうとウソをつく傾向が高くなるというものでした。優秀な子ほど「頭がいいね」と褒められてしまうのなら、優秀な人ほどこうした傾向は高くなってしまう、というわけです。

つまりもともと高い能力を持っている人で、失敗を恐れ、ウソをつく人の割合がより高くなる背景には、こうした「無批判に子どもの素質を褒める」教育があるということができるのです。