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日本に「超一流」が育ちにくい理由~才能を伸ばす脳の育て方とは

日本人の脳にせまる④

「本当の自分を見てもらえない」

誰もがうらやむような成功をおさめ、世間から高く評価されて、第三者から見て十分な能力を持っている――それなのに、自分自身を信じられない。

自分の実力を自分で肯定できない。

この現象は、優秀な人や、社会的に成功した人が多く経験する心理で、1978年に心理学者のクランスとアイムスによって、インポスター・シンドローム(Impostor syndrome、インポスター症候群)と命名されました。インポスターとは、英語で「うそつき」「詐欺師」、という意味の言葉です。

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インポスター症候群は、インポスター感情、インポスター体験などとも呼ばれます。1980年代前半には社会的に成功した5人のうち2人が自分を偽物であると感じていたという研究があり、これとは別の調査では人口の70%の人々が、人生で少なくとも一度はこの感情を経験するということも報告されています。

この症候群は性別に限定されない現象であるとされ、俳優のトム・ハンクスや女優のエマ・ワトソンもこの感情を経験したということを告白しています。

まさか、と思う方もいるかもしれませんが、『好きな女性アナウンサーランキング』で5連覇を果たした日本テレビの水卜麻美アナウンサーも、しばしばこの感情に悩まされていると、ごく個人的にではありますが、話をしてくれたことがありました。

 

多くの人に愛される容貌と、気さくで親しみやすい明るい人柄、そしてたしかな実力を兼ね備えている水卜アナ。「ランキング5連覇」というゆるぎない実績をおさめている彼女にさえ容赦なくこの現象は襲いかかるのだということを知って、はっとさせられました。読者の中にも、彼女がそうした戸惑いを抱えていることをにわかには信じがたいと感じる人が少なくないかもしれません。

「この成功は一時的なもので、他人の目に映る自分の姿は、本当の自分とは違う。本当の自分には、そんなに高い評価は見合っていないのではないか。自分に、実際にそこまでの力があるのだろうか。

今の自分の立場や、輝かしい業績に、多くの人は目がくらまされていて、本当の自分を見てもらえていないような気がする。なんだか自分がみんなを騙しているような気がする……」

こんなふうに打ち明けられたら、その内観と、世間から見た評価とのあまりの乖離に、多くの人は驚いてしまうのではないかと思います。むしろ、そんな自分の声に素直に耳を傾けることのできる水卜アナだからこそ、にじみ出るまっとうな人柄の正直さに、多くの人が彼女を応援したいという気持ちになるのでしょう。