日本の大企業が「情報弱者」に落ちぶれた、という危機的現実

「未来」をどう考えればいいのか?
柴 那典 プロフィール

なぜ「コンテンツのレーベル」なのか?

――最後にもう一つ教えてください。若林さんは先日黒鳥社(blkswn
publishers)を立ち上げたわけですが、この先はどういうことをやろうと考えてらっしゃいますか。

言い方としては、インディペンデントのパブリッシャーと言っています。でも、僕が本来的にやりたいのはコンテンツのレーベルです。

今のインターネットにおけるメディアやマーケティングにおいて、「ディストリビューション(配信)とコンテンツはイコールではない」といった話が盛んにされているんです。

こないだアメリカで「リファイナリー29」というメディアの人に会っていろいろお話をしたんですけれど、彼らに「サイトのデモグラはどうなってるの」って聞いたら、「プラットフォームによって違う」という答えだったんです。

Facebookだと20代女性が多くて、インスタだと15歳以下、YouTubeだと18歳くらいかな、とかそういう感じで。

 

――分散型である、と。

まさに。ディストリビューションのチャンネルによってデモグラが違うので、もはやサイト自体のデモグラに意味がないんです。それって極端に言っちゃえば、コンテンツ自体にデモグラがないってことなんですよね。

もちろんディストリビューションの段階では、18歳の女の子なら18歳の女の子に向けた最適化は行うわけですが、それとコンテンツづくりがもはやきっぱりと分断しちゃってるんですよね。

だし、分散化した流通経路からのフィードバックをいちいち気にしていたらメディアとして一貫性のあるメッセージがつくれなくなるという問題もあって、流通の分散化に合わせて行ってしまったら、メディアのアイデンティティはもはや担保できなくなってしまうわけです。

なので、自分たちも、コンテンツはコンテンツ、流通は流通と、もう明確に分けて考えるのがいいかな、と。

――いろいろな形でそれを出していくということでしょうか。

出し先はどこでもいいんです。作るものを作って、出し先が企業のオウンドメディアだろうが、それに適していればどこでもいいという感じです。ただ、コンテンツの出先で「blkswn」というレーベル名が出ていればいいかな、と。

請負仕事でも、コンテンツレーベルだっていい張っておけば、単なる制作会社とは違う関係性のなかで、クライアントとの取引も可能になるかな、という目論見もありますし。

ただ、今後何をやっていこうかというのはあまり決まっていないという感じです。面白いネタがみつかたっら、それを都度出して行ければ当面はいいかな、と。

自分が一つのメディアタイトルに紐付けられるのは、いまはちょっと気分的にしんどいですし。単発で本みたいなものも作りたいですし、イベントもやりたいし。表現するメディアは何でもいいんです。

それらが一つの「blkswn」という傘に入っているのが見えればいい。そういう感じのスタートですね。だいぶ適当です(笑)。

(おわり)