日本代表がロシアワールドカップでグループリーグから勝ち上がるには、守るだけではなく、攻めて得点をする必要がある。
5月30日のガーナ戦は、無得点に終わった。いくつか決定機は拵えたものの、ほとんどのシュートが枠を捉えていない。枠に飛んでも、GKを脅かすようなシュートは乏しかった。前半、ニアサイドでコースを変えたヘディングを、ファーサイドで受けた本田圭佑がシュートを打ち込んだシーン(相手GKが足で防いだ)が、一番可能性を感じさせた。
「決定力不足」
このままいくと、おきまりのフレーズが敗因に使われる恐れがある。
日本はいかなる得点パターンを構築すべきか?
ガーナ戦は0−2とスコア以上に完敗だったが、その理由は攻撃よりも、守備の脆さのほうにあった。
「日本は前の選手の動きは活発だったし、ボールを運ぶこともできていたが、守備が少し弱かった」
ガーナ陣営から洩れてきた話からも、敗因は明白だろう。
守り云々もそうだが、ディテールの問題だ。
例えば、先制点のFKを与えたファウルはイノセントで、そのFKに対する壁の作り方も甘かった。強力なキックを武器にするガーナ代表MFトーマス・パーティーに対し、日本の壁は不揃いでニアポスト側に人が足りず、しかもキックの直前に割れていた。トップレベルの戦いとしては、拙いプレーだった。
また、2失点目もガーナGKが蹴ったロングボールに、香川真司が競りに入っているのだが、無邪気に互角勝負を挑んで完全に負けている。そのボールを裏に通され、慌てたGK川島が突っ込んでPKを与えてしまった。
GKとセンターバックの連係は問題だが、その前に香川は相手よりも早くジャンプするなり、自由にジャンプさせない工夫で「空中戦の完敗」を回避すべきだった。
蟻の一穴で濁流と化すのが、世界標準のゲームである。
その点、日本が完敗だったのは間違いないが、攻撃そのものは可能性を秘めている。
背番号4の本田が、その旗手だった。
本田はトップの背後で自由に動き、攻撃の渦を創り出している。敵のラインの間にポジションを取って、ボールを受け、弾き出す。そこからのコンビネーションで何度か相手を崩している。
本田は右サイドでボールを持つと、左大外から入る長友佑都を視界に入れ、左足で際どいサイドチェンジのボールを配球している。同サイドに注意を集めながら、左足で逆サイドの裏へ送るパス。これは、リオネル・メッシがジョルディ・アルバと見せるプレーでもある。
トップ下、もしくは2トップの一角で自由にプレーしたときの本田は、十分にW杯でも拠り所になる。左足FKも含め、GKがどうにか弾き出すようなシュートを打ったのも、本田だけ。メキシコリーグでも二桁得点を決めており、得点感覚を失っていない。
本田のプレーセンスは今も健在。W杯で奇跡を起こす糸口になるだろう。