日大アメフト現役部員「特待生たちの憂鬱」

無理に退部もできないし…
週刊現代 プロフィール

日大アメフト部には13人のコーチがいるが、井上氏に加え、新たに3人が辞任した。

そのなかには学生連盟から資格剥奪の処分を受けた森琢ヘッドコーチが含まれている。

「辞めた3人は日大職員でも日大出身者でもありませんから、しがらみも少ないんです。ただ、森コーチを失ったのは大きな痛手です。内田前監督は励ますか脅すかだけで、戦術やテクニックを教えるノウハウがあるわけではありません。

しかも現役時代に大した選手ではなかったコンプレックスからか、名選手だった日大OBを遠ざけて、外部のコーチを招聘していました。そのなかで、森コーチは選手に寄り添い、人望もあったんです」(前出・アメフト部関係者)

 

内田前監督の後を引き取って、リーダーシップをとれる人間が誰もいない状況なのだ。

「大学側が内田前監督の息がかかっていない新監督を任命して、チームを立て直さないといけないのに、それが遅々として進んでいません。内田前監督に忠誠を誓うことを良しとせず、母校のコーチにならなかった優秀な指導者はたくさんいます。

ですが、内田前監督が大学の人事権を持つ常務理事を解任されるかどうか、まだアメフト部の有力OBたちが様子を見ている状況なんです」(前出・日大幹部職員)

日はまた昇る

来年度は新入部員も激減することが確実。このままでは休部もありうる。だが、前出・日大アメフト部関係者はこう言う。

「たとえ今季のリーグ戦に出られずに、1部リーグの『TOP8』から降格しても、来年度に公式戦復帰すれば、1年で間違いなく昇格できますし、再来年には甲子園ボウルを狙えるでしょう。それぐらい圧倒的な実力が日大アメフト部の1~2年生にはあります」

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学生連盟からの処分が出た翌日、本誌は学生寮に帰宅する現役部員に声をかけた。

――アメフトを続けたい気持ちがありますか?

「あります」

彼は真っ直ぐ前を見据え、そう頷いた。

現在、日大アメフト部に卒業生が約10人在籍している大阪産業大学附属高校アメフト部の山嵜隆夫監督がエールを送る。

「日大のフットボールは、かつての篠竹幹夫監督の時代からサムライ魂を感じさせるものがありました。一方、関学はスマートなイメージ。是非の問題ではなく、それぞれのカラーなんですね。

今回の事件は、日大の行き過ぎた上意下達が原因だったと思います。内田さんは、黒いものでも白だと言い張るなら、なぜ白なのかを合理的に部員に納得させる必要があった。

今後、指揮系統を含めた指導方法は根本的に変革していく必要がある一方、愚直なまでのプレースタイルは維持してほしい。不易流行です。

今回の事件を変革の機会と捉えて、日大アメフト部員には、今後、変えるべきものと伝えるべきものをよく見定めて、再生のための一歩を踏み出すことを期待しています」

アメフトを愛する若者たちが試合に臨める日は必ず、来る。

「週刊現代」2018年6月16日号より