アラフィフになって直面する「白髪、染めるか染めないか問題」

白髪のままにするグレイヘアが急増中
米澤 泉 プロフィール

一方"美魔女"はロングヘアを死守

確かに、オシャレな「グレイヘア」が広がる一方で、絶対に黒髪(茶髪)を死守する女性たちもいる。それも、若い頃と全く同じ髪型、長さのまま年を重ねようとする女性たちだ。

萬田久子あたりからみられるこの路線には、浅野ゆう子、浅野温子のW浅野、今井美樹などかつてのバブル世代の後継者が続々と名を連ねている。ワンレンやソバージュロングで黄金期を過ごしたからこそ、彼女たちはいつまでもそのスタイルを守り続けようとするのだろう。

数年前から女性用ウィッグのCMに出演するようになった浅野ゆう子などは、御年57歳であるが、マイナス10歳「大人のエクステ」の効果もあって、若い頃よりもボリュームと輝きを増した髪をたなびかせている。おそらく還暦を過ぎても、いやこの先10年経ってもこのイメージを保ち続けるだろう。

浅野ゆう子と言えば昨年末に熟年婚したことで世間を騒がせたが、もし、彼女が「グレイヘア」であったならば、57歳で結婚しただろうか。前髪をおろしたロングヘアという「若さ」と「女らしさ」を十分に感じさせるヘアスタイルだったからこその「ウィッグ婚」だったという気がしないでもない。

一昔前までは、50代にもなると、女優であってもロングヘアの女性は少なくなったものだが、近年は50歳をすぎても髪を切らないどころか、いっそうロングヘアを際立たせる著名人が目立つ。

人生でいちばん髪が長い松田聖子(56歳)、最強のファビュラス・ロングヘア叶姉妹(推定55歳&50歳)巻き髪を死守する美のカリスマ君島十和子(52歳)などである。彼女たちはセレブだから特別なのだろうか。いや、そんなことはない。

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一般女性の中にも20代、30代のイメージのまま年齢を重ね、50代に突入するタイプがちらほら見受けられるようになった。それは、ワンレンボディコンで20代を過ごし、美魔女ブームの頃に四十路を迎えた世代が、そろそろ50代に達しているからである。そう、元祖美魔女たちはいまや50代なのである。

美魔女ブームは、雑誌『美ST』(創刊時は『美STORY』)によって、もたらされた。2009年に「私は時を恐れない」をキャッチフレーズに創刊された『美ST』は、「美しい40代がニッポンをアゲる!」を合い言葉に、日本の40代女性の美意識を変えるのに貢献した。

齢40を迎え不惑となり、人生の折り返し地点を迎え、美の下り坂を降りようとする女性たちに待ったをかけたのだ。「人生で最高の美貌はこれから」とばかりに「国民的美魔女コンテスト」を開催し、全国から若い頃よりも輝いている40代を募ったのであった。

だが、まるで魔法をかけているかのように美しさを保ってきた美魔女たちもそろそろ五十路である。はたして「50の壁」は越えられるのか。第2回国民的美魔女コンテストでグランプリを獲得した山田佳子の『美魔女・山田佳子 もう怖くない 49歳の崖』という著書によると、女性は「49歳で耐えてきた表面張力が弾けるように老化の崖を落下する」という。まさに崖っぷちなのである。

しかし美魔女・山田佳子は決して屈しない。「それが女の人生の定石なんて誰が決めたんでしょう!?上り坂を物ともせず駆け上がり、壁を壊し、崖はよじ登る、運命にだって逆行する、そんな女の人生があったっていいではないですか!」と力強く応戦する。

この勢いならば、確かに壁は越えられそうである。迫力に負けて、白髪も生えてこないかもしれない。仮に白髪になっても、彼女ならあらゆる手段でそれを阻止しようとするだろう。ここまで行くと、男性からの評価を得たいがためというよりも、肉体の限界に挑戦、自分との闘いというアスリート的な側面が強くなる。美魔女として生きていくのも大変である。

このように、ナチュラルな「グレイヘア」を志向する女性が増加する一方で、何があってもあきらめないアンチエイジング志向の女性たちの存在も際立ってきている。

それぞれの存在が目立つのは、両極であり、まだまだお互いが少数派であるからだろう。多くのアラフィフ女性は、彼女たちのように自らの信念を貫く強靱な意志もなく、ナチュラルな「グレイヘア」か、アンチエイジングな黒髪か、その間をさまよい、態度を決めかねている。あくまでも白か黒か、それが問題なのである。