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「子供を持つとキャリアを失う」と思っている女性の大きな勘違い

経営学の実践的アドバイス

やる気を失った先輩

「先輩みたいになりたいと思っていたのに――」そう語るのは、新卒で飲料品メーカーに入社し、企画部で働いているA子。同じ部署には、4年先輩のB美がいた。A子は、仕事ができて後輩の面倒見がよく、サバサバした美人のB美にずっと憧れており、いつかはB美のようになりたいと考えていたのだが……。

 

B美は、昨年第1子を出産し、育休をとって復帰したころから変わってしまったとA子は感じていた。B美は時短勤務なのだが、皆が忙しく働いているのを横目に定時より早い時間に逃げるように退社し、こどもが熱を出したと言っては頻繁に休み、仕事も言われたことをこなすだけになっていたのだ。

退社後にB美が担当する業務の問い合わせ電話に対処した別の先輩が、「こどもがいる人は早く帰れていいよねえ」とつぶやくのも耳にした。憧れていた先輩が周囲からの評判を落としていくのを目の当たりにして、A子は少なからずショックを受けているのだった。

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A子はB美と二人で資料を作成する仕事をすることになった時、「先輩、やっぱり子育てしながら働くって大変ですか?」と尋ねてみた。

するとB美は「すごく大変だよ。私は通勤に1時間以上かかるから、定時まで働いていると保育園のお迎えに間に合わなくなるのね。もっと会社の近くに住んだら楽だったなあと今は思うけれど、子どもができたと分かったときに自然の中で育てたいなと思って郊外の家を買ってしまったので引越しは難しいし、家のローンがあるからベビーシッターをお願いする金銭的余裕もない。

時短勤務にしたら、基本給と残業代がなくなって新入社員並みの手取りになるなんて知らなかった。こどもがこんなにしょっちゅう熱を出すとも思わなかった。残業はできないし、よく休むから仕方ないとは思うのだけど、出産前のような責任のある仕事を任されなくなると、仕事の面白さも半減で……。

誰でもできるような仕事しか任されないし、お給料も減るしで、なんのために働いているか分からなくなってしまうの」と半ば困惑しながら語った。

あの優秀なB美ですらこうなってしまうのであれば、それほど優秀でない自分には仕事と子育ての両立は到底無理だ、とA子は思わざるを得なかった。今は仕事にやりがいを感じているが、いずれこどもを持つならば、仕事のやりがいは諦めるしかないのだと思うと、急に目の前の仕事が色あせて見えた――。