抗うつ剤の減薬には「SNS断ち」がよく効く

私的「減薬・断薬」放浪記【4】
上原 善広 プロフィール

依存性が高く、離脱症状も重いため昨年から使用を厳格化されたベンゾ系のデパスは1日に1.5ミリグラム(0.5ミリグラムを1日3回)取っていたのだが、それを半分の0.75ミリグラムに減らした。同じくベンゾ系のハルシオンは0.5ミリグラム(睡眠前に0.25を2錠)飲んでいたのが、何とか半分の1錠(0.25ミリグラム)に減らすことができた。

特にハルシオンは、当初から田島医師からも「飲みすぎで、いつ体調を崩してもおかしくない状態。もうすでに耐性ができて効いていない」と言われていた。

ハルシオンの薬効はだいたい3時間ほどと言われている。この薬を飲んで眠気を我慢しているとハイになれるため、盛り場などで流行った時期もある薬だ。そんな危険な薬がよくクリニックで処方されていたのは、3時間の薬効が切れるとぼんやりすることなく、スパッと目覚められてキレが良いからだ。

そのため短時間でも眠りたいときは手軽に使ってしまい、寝不足だなと思えば、日中の昼寝のために追加して常用してしまっていた。1日に4錠(1ミリグラム)以上服用することも珍しいことではなくなっていた。

しかし、長期間の使用で耐性がつくと効きが悪くなる。昨年の段階で7年間飲んでいたことになるが、この頃になると3時間効くどころか、3時間以上たってから効き始めるというおかしなことになっていた。

だから寝る時間が午後11時だとすると、3時間前の午後八時には飲まなければいけなくなる。その3時間の間にハイになってしまい、いきなり夜食を作り始めて、過食に陥ることも毎晩のことだった。『どくとるマンボウ航海記』などで知られる作家の北杜夫は、躁鬱病(双極性障害Ⅰ型)で有名だったが、やはり夜間に食欲が亢進してしまい、自分でラーメンを作って食べていたことを面白おかしくエッセイに書いている。しかし周囲や当人は、塗炭の苦しみだったことだろう。改めて北杜夫という作家の偉大さに気づかされる。

爪先ほど量を減らしただけなのに

田島医師の指導のもと、私はベンゾ系の減薬に取り組み始めた。

とりあえず2錠飲んでいたハルシオンをまず週1回、8分の1だけ減らす(0.25錠の4分のをハサミでカットする)ことから始めた。週1回減らせるようになったら、それを週2回にするといった具合で、体調をみながら柔軟に減らしていくのだ。休前日など、翌日に減薬が影響しない日を狙って減薬を始めるのがコツだ。この方法で徐々に減らす回数を増やしていくのだが、それにはだいたい2、3ヵ月から半年、人によっては1年ほどかかる。

体調が悪くなるとまた服薬量を戻したりしなければならないので、まったくイライラするほど緩やかな減らし方だった。仕事をしながら減らすのがこんなに辛いものかと思ったものだ。

 

しびれをきらした私は、ついでに昼に飲んでいたデパスも半錠だけを減らしてみたのだが、途端にひどい倦怠感、不安感にさいなまれるようになってしまった。

田島医師からは「2種類の薬を同時に減らしてはダメです。1種類ずつ減らして、それができてから次の薬を減らして、という風にしていかないと続きませんよ」と指導されて、デパスはまた元に戻すことになった。

ほんの爪先ほどの量を減らしただけなのに、途端にひどい倦怠感、不安感、頭痛などに悩まされるのだから、大変な薬に手を出してしまったなというのが、正直な実感だった。