有名企業の幹部らに聞く「日大の宮川くん、御社なら採用しますか」

あの謝罪は企業トップでも真似できない
週刊現代 プロフィール

人生はこれからだ

アメフトの社会人リーグにおいて国内屈指の強豪チームを擁するのが、大手メーカーの富士通である。同社の採用に関わる中堅社員D氏が言う。

「うちには日大、関学、立命館といったトップレベルの大学アメフト部OBが入社しています。アメフト出身者にかぎらず、体育会系、それも全日本クラスの選手だと、中学から大学までずっと周囲からチヤホヤされてきますから、企業に入ると環境の変化に戸惑う人がほとんどです。

あの会見を見て、宮川君は日大の体育会系でありながら(笑)、きちんと一般社会の常識を持ち合わせていると思いました。

弊社ではアメフト出身者は営業、総務といった部門に多く配属されています。宮川君はあの会見で全国に顔が知られて、営業部門で活躍しそうな気もしますが、弊社の場合、クライアントは大手金融機関や官庁ですからそう甘くはない。

知名度や熱意だけでは営業はできません。ただビジネスマンとして基本的な素養があることがあの会見でわかっていますから、お会いして話してみれば、向いている職種がきっとあると思います」

 

人事コンサルタントの新井健一氏が分析する。

「いまの大手企業では体育会系の需要が以前に比べて高まっています。とにかくいまの若者は縦の関係を結ぶのが苦手。逆に横の関係はSNSで広いというのが特徴です。

体育会出身者は『縦の関係』をしっかり叩き込まれている人材として重宝されるのです。タフさに加えて、自分の役割を認識して忠実に行動ができる点で、宮川君は大きな組織に身を置くことで大成できる人材だと思います。

ただし彼がいま世間の共感を集めているのは、学生という立場だからこそ、という面があることを忘れてはならないでしょう。従順な性格だと、コンプライアンスの意識が希薄な上司に利用されてしまうこともある。未熟な部分を律していくことが求められます」

大手企業のヘッドハンティングを担っている半蔵門パートナーズ代表・武元康明氏が言う。

「企業が学生に求めているのは『主体性』『ねばり強さ』『コミュニケーション能力』です。彼はこの3つを兼ね備えていると思います。さらに緊急事態にどのような対応を取ったか、ということが重要な要素となります。

これは天性の資質。謝罪会見を逃げずにやりぬいたことで、宮川君は企業の経営者には信頼に足る人物と映っていることでしょう。今後はさらに判断能力を磨くことが求められていきます」

宮川選手はまだ二十歳。人生はこれからだ。

「週刊現代」2018年6月16日号より