Photo by iStock

有名企業の幹部らに聞く「日大の宮川くん、御社なら採用しますか」

あの謝罪は企業トップでも真似できない

たしかに300人の報道陣の前で、あれほど誠実に謝罪できる二十歳の学生が日本に何人いるだろうか。罪が消えることはないが、その資質は確かである。就活シーズンのいま、企業は彼をどう見たか。

腹が据わっている

「大学に早く来てほしい」

日本大学アメフト部の宮川泰介選手(20歳)が在籍する、スポーツ科学部の同級生はそう語る。

「普段の宮川君は口数も少なく、クラスでも決して目立つような存在ではありませんでした。でも、授業に真面目に出席していて、試験前にはクラスの友人から頼りにされていましたよ。常に礼儀正しいので、教授陣からも好かれていたと思います。

まだ新入部員だったころの宮川君が『監督が声をかけてくれた』と喜んでいたことを覚えています。よく聞くと、『オマエは(日大)豊山にいたヤツか?』と監督に尋ねられただけなのに、彼はとても嬉しそうでしたね。

事件後、グループLINEで『大丈夫?』『学校おいでよ』と仲間が呼びかけても、彼から返信はありません。このまま退学してしまうのではないかと、みんな心配しています」

日大アメフト部の現役選手も5月29日に発表した声明文で、「再びチームに戻ってきてもらい、一緒にプレーできれば」と宮川選手への思いを明かした。

5月29日、日大の大塚吉兵衛学長が公式サイトで、企業の採用担当者に向けて、日大生に対してこれまでと変わらぬ配慮を呼びかけた。

悪質タックル事件における大学側の不誠実な対応によって、大学自体のイメージ悪化は止まらず、日大の就活生にまで悪影響が及んでいるのだ。

 

その一方で宮川選手の記者会見は立派だったと、大手企業の採用担当者の間で、「彼なら採用確実」との声もあがっているという。

本誌は大手有名企業で人事・採用にかかわる現役社員たちに取材を敢行。宮川選手を自分たちの会社で、新入社員として採用するか否かを聞いた。

まず、パナソニックの幹部A氏はこう話す。

「宮川君の会見を見て、私は涙が出ました。あれだけのカメラ、報道陣を前にして自らの過ちを謝罪できる度胸には驚きました。

今どきの若い社員は、失敗したら尻尾を巻いて逃げ出して、公の場で時系列に説明なんかできませんよ。宮川君のように腹が据わっていない。

彼が持っているスキル、能力については未知数ですが、希少価値のある学生だと思います。アメフトのトップクラスの選手なのですから、馬力があることはすでに明らか。十分に採用に値します」

日大アメフト部の内田正人前監督の自己保身に満ちた記者会見と対比されたことで、宮川選手の価値はさらに高まった。A氏はこう続ける。

「内田前監督とは対照的に宮川君は、自らの過ちを全面的に認めたうえ、アメフトはやめる、自分にはやる権利もないと潔く断言した。その覚悟は見事の一言です。不祥事を起こした企業のトップでも、あの謝罪会見はなかなか真似できません。

ウチの会社の社会人チームは日本一を何度も獲得した名門なので、アメフト部出身の社員は多いんです。

彼らは二つに分かれます。体力に自信があり、営業部門で自己犠牲を厭わないタイプ。もう一方は、物事を理路整然と考えて組織のリーダーシップをとるタイプ。どちらも貴重な戦力で、宮川君は双方で活躍できる可能性がありますよ」