辺野古新基地「グズグズの地盤」を見て見ぬふりする政府の異様

7月から土砂の投入が始まるが…
半田 滋 プロフィール

来月から土砂投入が始まる

移設工事が終わるころには、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンの米海兵隊はグアムなどに移転しており、沖縄に残る実戦部隊は2000人規模の第31海兵遠征隊のみとなる。2006年の米軍再編で普天間基地の辺野古移設を日米で決めた後、米側の都合で2012年に合意見直しがあり、実戦部隊の国外移転が決まったからである。

航空基地を必要とする実戦部隊の大半が消えるのに、移設計画だけは予定通りに進める。日本の公共事業のもっとも悪い一面を引きずる典型例が、辺野古新基地の建設計画といえる。

防衛省は、昨年4月から埋立工事に着手した。早期に着手したのは、裁判に訴えてまで辺野古新基地の建設計画に反対する翁長県政に、反対断念を促す狙いがあるとされる。

埋立工事では、新基地予定地の外周に砂利を投下して外枠をつくり、その中に土砂を入れて陸地とする。土砂の投入は早ければこの7月から開始される。

軟弱地盤の改良工事だけでも、当初の計画にない巨額の出費を余儀なくされ、その負担は国民全体にツケ回される。「どんぶり勘定」とされる国発注の公共事業だけに、防衛省幹部は「見積もり違いなどによる価格高騰は承知の上」とうそぶく。

 

例えば防衛省が、山口県の米海兵隊岩国基地の滑走路を沖合に1km移設する埋立工事を実施した際、費用は当初見込んだ1600億円から最終的には2400億円と1.5倍に高騰した。ただ、移設工事の間、岩国は「米軍特需」に沸いた。

その後、防衛省が横須賀を事実上の母港とする米空母の艦載機を、神奈川・厚木基地から岩国へ移転することを打診した際、受け入れ反対を訴えた現職の岩国市長は政府が支援した容認派の候補に敗れ、受け入れが決まった。

空母艦載機61機の移転は今年3月に終わり、岩国基地は航空機120機を擁する極東最大の基地となった。昼夜を問わず飛び続ける航空機の騒音はすさまじく、滑走路の沖合移設による騒音軽減の試みは水泡に帰した。いま、岩国市民は何を思うのだろうか。

辺野古新基地の問題は、事業費高騰だけにとどまらない。軟弱地盤の土地改良を伴う新たな申請を沖縄県側がやすやすと認めるはずもなく、再び法廷闘争となるのは明らかだ。

普天間基地から辺野古新基地に移転する予定の垂直離着陸機「オスプレイ」は、普天間配備から5年足らずの間に、死亡事故を含め2機が墜落・大破した。

基地が沖縄に集中する限り、危険が去ることは決してない。埋立工事や米軍駐留に伴うやっかいな問題が「時間が経てば、いずれ収まる」と考える方がおかしい。