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辺野古新基地「グズグズの地盤」を見て見ぬふりする政府の異様

7月から土砂の投入が始まるが…

防衛省が進める、沖縄県にある米海兵隊普天間基地の、名護市辺野古への移設計画。世界的にも珍しいアオサンゴの群生地や、絶滅危惧種のジュゴンのエサ場を埋め立ててでも海上基地を建設する大規模公共事業だが、ここへきて地下に活断層が走るうえ、軟弱地盤でもあることが判明した。

活断層の移動は阪神・淡路大震災や熊本地震の原因とされ、大規模地震が発生するおそれがある。さらに辺野古の軟弱地盤については「マヨネーズのような柔らかさ」との指摘もある。にもかかわらず、防衛省は地質に問題があることを承知しながら工事を進めており、無責任とのそしりは免れない。

 

また「問題ない」と閣議決定

辺野古新基地計画とは、沖縄県中部に位置する宜野湾市の人口密集地にある普天間基地を、北部の名護市辺野古に移転する計画だ。辺野古にあるキャンプ・シュワブを一部埋め立てて、巨大基地を建設する。3500億円ともいわれる費用は日本側が負担する。

滑走路は1本から2本へ増え、また普天間基地にはない強襲揚陸艦が着岸できる岸壁と弾薬搭載エリアを併設し、基地機能は格段に強化される。単なる移設にとどまらず、事実上の新基地建設に近いため、「あらたな基地の提供は認めない」とする翁長雄志沖縄県知事らは強く反発している。

埋め立て予定地に活断層が存在することを明らかにしたのは、琉球大学の加藤祐三名誉教授(地質学)。昨年11月、キャンプ・シュワブゲート前で市民らに説明した。

加藤氏によると、新基地予定地近くの陸上部から海にかけて「辺野古断層」と「楚久断層」という2本の断層があり、この2本の断層の延長線が海中で交わった先に、水深50mという深い谷が出てくる。この50mの落ち込みは、建設が予定されているV字滑走路のちょうど先端部にある。

加藤氏は「何度か断層が動いて50m以上もの落差ができたのだと思う。活断層である可能性は高い」と説明。活断層だった場合、地震や津波の発生源になり得るとして「弾薬庫や燃料庫があれば、あるいは核が持ち込まれたら、大惨事になりかねない」と警告した。

米カリフォルニア州やニュージーランドでは法律で、また徳島県では条例で、活断層の直上や周囲での施設建設を禁止もしくは制限しているという。

沖縄タイムスと琉球新報の2紙が活断層の存在を速報すると、県内からあらためて建設中止を求める声があがり、沖縄選出の糸数慶子参院議員(沖縄の風)は政府見解を求めて、参院議長に質問主意書を提出した。

すると、政府は昨年11月24日、「辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない」とする答弁書を閣議決定。海底地盤の安全性については「問題ないものと認識している」と断定した。

だが実は、建設予定地先の海底に50mの落ち込みがあることは、2007年8月に那覇防衛施設局(現・沖縄防衛局)が作成した環境影響評価方法書の中で、辺野古沿岸域を示した「地層断面位置図」「推定地層断面図」に明示されている。

那覇防衛施設局「第3回代替施設協議会資料」より。50mの「深い落ち込み」が記載されている

昨年2月から4月にかけて沖縄防衛局は、大型調査船「ポセイドン」を使って工事海域の地質調査を実施。50mの落ち込み部分を念入りに調査しており、危険性を認識している様子がうかがえる。

先の答弁書で、政府は「辺野古断層」「楚久断層」の存在は認めながらも、既存の文献に活断層を示す記述がないことを根拠に「活断層とは認めない」と断定している。

しかし、政府はポセイドンによる調査結果を公表していないばかりか、答弁書でポセイドンの地質調査にも触れていない。

これは「朝ご飯は食べたか」と聞かれ、パンは食べているのに「ご飯(米)を食べた記憶はない」と答える、いわゆる「ご飯論法」ではないのかと疑いたくなる。データの隠ぺいや改ざんが日常化した安倍政権下で、正確な事実の提示を抜きにした閣議決定など到底、信用できない。