弁護士が学校を支配する…? 「スクールロイヤー」の危うさ

彼らがいじめ問題に関わることへの不安
大前 治 プロフィール

難関大学に入学して司法試験にも合格できた弁護士は、成功体験に自信をもち、深刻な挫折を経験していないタイプも多い。

言語化できないストレスに苦しむ子どもや、学校に不満をもつ保護者の心情を理解できるだろうか。

そういえば、2011年6月にツイッターで「教育とは2万%、強制です」と発言した橋下徹・元大阪府知事も、2015年5月に教育委員(女性)への暴言の責任をとって辞職した中原徹・元大阪府教育長も、弁護士であった。

ともかく全国約4万人の弁護士は多種多様であり、考え方や人格のバラつきがある。

その中から誰をスクールロイヤーに選びだすのか。面接方法も採用基準も検討途上であるが、適切に人材を見極めることは極めて難しいはずである。

 

「弁護士の判断」が尊重されすぎる危険

弁護士から「これが法律的判断です」と言われたら、教師や保護者が反論をすることは難しくなる。

しかし、弁護士が学校で起きた出来事を正しく認識できるとは限らない。

事実を誤解した弁護士が「あの教師の行為は体罰には該当しません」とお墨付きを与えてしまい、生徒や保護者に泣き寝入りをさせてしまう危険性もある。

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スクールロイヤーの言動に対して、是正と監督の手段がない点も重大である。

教師の問題行動に対しては、研修や懲戒処分による是正措置が存在する。もっとも重い免職処分を受ければ、教師は職を失ってしまう。

ところが、スクールロイヤーには本業の弁護士業務がある。スクールロイヤーを辞めても収入を失わない。だから、何も怖れることはなく、誰からも是正されずに辣腕を振るうことができる。

日常的に生徒と接することもなく、教育現場の実践と苦労を理解していない弁護士が「専門家」として招かれ、上から目線で「指導と助言」をする事態が目に浮かんでしまう。