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「理解を求めるな、利益を説け」がトランプのトリセツだ

本音むき出しの米国に向き合うために
トランプの米国は、世界中を相手に貿易戦争を仕掛けることで、戦後の自由貿易という世界の経済体制の旗手であることを自ら否定した。それだけではない。「自由と民主主義を広める」という戦後の米国対外政策の錦の御旗もはっきり降ろした。冷戦の末期以降、世界の民主化団体に資金を流し、レジームチェンジを後押ししてきた「全米民主主義基金」という組織への資金をトランプ政権はバッサリ絶とうとしている。要するに「世界の盟主」としての名目を完全に放棄した。しかし、勘違いしてはいけない。米国が衰退し、力がなくなったからではない。経済的にも、軍事的にも米国が世界で群を抜いた存在であることが変わらないから、トランプは好き勝手できるのだ。トランプの米国という新しい事態に日本は、世界は、どう向き合えばよいのか、元「無頼派」外交官が提言する。

おいしい思いをしてきた国が騒ぐ

世界も日本も米国すらも、トランプという異端児にかきまわされている。

彼はまず、自分の再選のことを考えて行動し、ものを言う。世界を仕切る超大国のトップにそのような人物が座っている時、日本はどうしたらいいのだろう。

米国との同盟を破棄して、完全自主防衛、あるいは日中同盟締結に走る? いや、事態はそこまでは切迫していないだろう。トランプ米国との付き合い方をもっと考えてみるべきだろう。

 

米国は、何をどうやっても、いつも批判される。それは世界を仕切る者の宿命なのだが、トランプの米国への批判の声は、感情的とも言えるほど、これまでになく甲高い。やれ、「米国は自分のことしか考えない、自分たちには役に立たない国になってしまった」、やれ「米国主導の戦後世界秩序は崩壊する」など。

その割に、世界中の首脳達はトランプに対し、もろに口答えして憎しみを一身に招く愚は避け、われ勝ちにワシントン詣でを繰り返す。米国の力がほとんど落ちていないからだ。

外国が騒ぐのは、自由貿易や自由・民主主義が危うくなるからと言うより、これまでの自分達の取り分をトランプが取り上げようとしているからだろう。

戦後、自由貿易の旗印の下、対米貿易で利を貪ってきたのはドイツ、日本、そして今では中国もだし、日本の景気が良くなってきたのも、アベノミクス下、米国が円安をしばし容認してきたからだ。