就活生の「内定前倒し」に焦る大企業のホンネ

「協定」見直すか、どこまで変えるか…
町田 徹 プロフィール

2021年春からの新ルール

だが、筆者が5月末にかけて取材したところ、経団連企業の中には意外と律儀に経団連の指針を守っているところが多かった。こうした企業は、解禁になっている広報活動を通じて接触した中で有望と感じた学生に、選考を始める6月1日以降の数日間にぜひ面接や試験を受けてほしいと伝えるにとどめているという。

全業種を確かめたわけではないが、取材した銀行、証券、商社、電力の大手企業はそろって「6月1日以降、どんどん来てほしい。門戸は開けてある」と話していた。

 

とはいえ、こうした経団連企業も、経団連の指針に縛られない企業が優秀な人材をどんどん囲い込んでいくことには焦りや苛立ちを感じている。経団連もその辺りのことは十分理解しており、すでに今年3月、2021年春入社の学生を対象とした就職活動ルールを見直す方針を表明。今秋をめどに結論を出すという。

その主眼は、企業が画一的な指針に縛られず、自由に採用できる余地を広げることだ。検討の柱として、以下の4つが俎上に載っているという。

①採用面接と説明会の解禁を3月に一本化
②ルールを「一つの目安」に緩める
③採用面接を6月から4月に前倒し
④ルールの廃止

政府や大学と調整し、成案を得る意向だ。

この中で、前述の筆者の取材を通じて企業側の要望が強かったのは、②の「ルールを一つの目安に緩める」だ。その一方、まったく目安がなくなると困るので、④の「ルールの廃止」には慎重な声が大勢だった。

新卒一括採用はもともと、終身雇用や長期雇用を前提にした日本的な人事慣行の一環だ。昨今は雇用形態が変革を余儀なくされているのだから、採用制度も抜本見直しが避けられない。

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