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娘にダイエットをやめさせようと頑張る「肥満の母」の醜い真意

わが子の健康を奪う親たち(2)
自分の子供に「見た目のコンプレックス」を意図的に持たせる親の心理とは、一体どのようなものだろうか? 娘がダイエットするのを必死に止めさせるのは、肥満体の母親が道連れにするためだった――。

子供たちが悲鳴を上げる「新種の毒親=奪う親」についての衝撃的な現場レポート第2弾!

第1回はこちら→<ルポ>子供を「肥満体」に育てたがる親たち

「子供の自主性を尊重してるんです」

今回は「奪う親」の心理に詳しく迫っていきます。

私はたくさんの生徒や友人に話を聞いて回り、「奪う親」の情報を多く集めました。そしてその結果、「奪う親」が子供に見た目のコンプレックスを意図的に持たせる心理は、「黙殺型道連れ型乱用型」の3種類に分けられることがわかりました。

この3種類の心理について、それぞれの典型的事例を紹介しながら、その特徴を説明していきます(比較しやすいように子供の肥満体形の事例を揃えましたが、「奪う親」が子供に持たせるコンプレックスの種類は様々です)。

豪は有名大学の付属中学に通っている。定期テスト前だけは勉強するが、普段は家でゲームばかりしている。両親は仕事や用事で家にいないことが多いため、一人っ子の彼は基本的にはコンビニで食事を買ってきて一人で食べている。この生活にはすでに慣れていて、特に問題には感じていない。

しかし彼は、自分の見た目には、大きな問題を感じて、悩んでいる。同級生に比べて太っており、歯並びも悪い。さらに最近はニキビも悪化し、ドラッグストアで買ってきたニキビ薬を塗っても治らない。

本当は早く皮膚科に行きたいのだが、母親には言い出せずにいる。昔、高熱が出て内科に連れて行ってもらった時、「忙しいのに迷惑ね!」と文句を言われたからだ。健康保険証の保管場所は知っているが、一人で皮膚科に行く勇気もなかなか出ない。

結局、今日の午後も近所の皮膚科に行かなかった。ゲームをして時間を潰してから近所のコンビニに行き、夕食用にカップ麺とスナック菓子、アイスクリームを買う。この食生活が悩みの原因だということはわかっているが、昔からこういうものばかり食べてきたので、自分の好みを変えられずに困っている。

 

私はこの豪君の両親と、一度だけ面談をしたことがあるのですが、彼らは自分たちの子育てを「放任主義」と称し、「私たちは子供の自主性を重視してるんです」などと美しい言葉を並べていました。

しかしその後、私の所属する塾側が定期的に面談をしようとしても、「うちは子供に任せてますから」と断り続け、豪君の成績や進路にもまるで興味を示さず、「放任」というより「放置」という印象を受けました。

この「黙殺型」の「奪う親」は、子供と関わり合うことを普通の親と比べて極端に避け、社会的に非難されない程度のケアは子供に与えるものの、それ以上のケアを与えようとはしません。

その結果、子供は見た目のコンプレックスに悩まされるだけでなく、自分は親から愛されていないと感じて、心にも傷を負うことになります。

「親に恨まれている証拠みたい」

ただ、このタイプの親の場合、子供にコンプレックスを持たせようという意図は、後述する2種類の「奪う親」と比べて弱く、子供は自力でコンプレックスを解消しやすい状況にあります。

豪君は高校2年の時から私の生徒になった子でしたが、その時にはすでに、見た目のコンプレックスの大半を自力で解消していました。

1年ほど悩んだ末に皮膚科に通い始めてニキビを治し、食生活も必死に正して標準体形になり、歯並びについても祖母に頼んでお金を出してもらい、矯正を終えていました。

ただ、頬のニキビ跡だけは目立つ形で残ってしまい、それを気にしている様子でした。

俺、このニキビ跡、親に恨まれてる証拠みたいに感じるんですよね

ある時、彼は寂しげに笑いながら言いました。

「うちの両親、昔から仲が悪くて、世間体を気にして夫婦を続けてるだけなんです。俺ができたせいで結婚することになったらしいんで、俺のことを内心恨んでるんだと思うんです。だから友達の親がしてるみたいに、食育とか、病院に連れて行くとか、ずっとしてくれなかったんですよ」

彼の場合、身体の健康への被害はある程度までで済んだものの、親に「黙殺」されて育てられたことは、深い心の傷として残った様子でした。