躍進の70年代「知的啓蒙」がテーマの実用新書が売筋に!

講談社現代新書の歩み〈2〉
現代新書編集部 プロフィール

骨太のテーマが大ヒット

この頃、現代新書では、過去にない新しい試みがなされた。現代新書の中にブランチを創るシリーズ内シリーズだ。

「新書 西洋史」「新書 東洋史」「新書 日本史」「日本の古典」などのテーマを設けて、それぞれの分野の専門家に分担執筆してもらう方式だ。この試みは成功を収めて、単体作品では売れ行きが望めない骨太のテーマでも版を重ねるロングセラーとなった。

 

たとえば、新書西洋史シリーズでは、

第1巻『文明のあけぼの』(23刷)
第2巻『地中海世界』(36刷)
第3巻『封建制社会』(26刷)
第4巻『ルネサンス』(35刷)
第5巻『絶対王政の時代』(24刷)
第6巻『市民革命の時代』(26刷)
第7巻『帝国主義の展開』(22刷)
第8巻『二十世紀の世界』(20刷)

と、すべての作品が20刷を超えるロングセラーとなった。

高度成長時代が終わり、新たなる価値観が模索される時代だったのか、1970年代から80年代前半には、心理学の良書が刊行されている。

75年のR・ベイカー『フロイト』、79年の早坂泰次郎『人間関係の心理学』、そして80年には、日本の家族関係の深層構造を分析する河合隼雄の『家族関係を考える』、82年には、ユング心理学研究の第一人者として知られる秋山さと子の『ユングの心理学』が刊行され、いずれもロングセラーとなった。

この時期には、黒井千次の『働くということ』(1982年)、中野孝次『自分らしく生きる』(1983年)など、人生そのものをテーマにした骨太の作品も目立つ。

(第3回へつづく)

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