世界に強烈な衝撃を与えた「This Is America」とは何だったのか

2億回再生、社会問題を痛烈に描いた
柴 那典 プロフィール

「完全に頭から離れない」「率直に悔しい」

では、日本にもチャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」と同じように「日本の社会が抱える問題」を抉り出すような表現、ある種の政治性や社会性を持ったメッセージを込めた楽曲はあるのだろうか。

正直に言えば、かなり少ない。

日本においては社会運動や政治的な意見表明への忌避感を持つミュージシャンは多く、ここまでのレベルの波紋を巻き起こすような影響力を持った楽曲を発表するアーティストはメジャーシーンにはほとんどない。

 

ただ、その候補に挙げられるのはラッパーのSKY-HI(AAA日高光啓)だろう。

エイベックスに所属しグループでは紅白歌合戦に出演している彼は、昨年、共謀罪法案成立直後に自身のプライベートなYouTubeチャンネルに「キョウボウザイ」という楽曲を発表。

また、自殺防止を訴えアメリカで大きな反響を呼んだロジックの「1-800-273-8255」のトラックに自作のリリックを乗せた「0570-064-556」(タイトルはこころの健康相談統一ダイヤルの電話番号)を発表するなど、自らの意志をもとに社会性の高い楽曲を発表している。

この「This Is America」についても「完全に頭から離れない」とツイート。刺激を受けているのは間違いないだろう。

また、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文は自らのブログで「This Is America」の日本語訳詞を掲載(http://gotch.info/post/173722761332/)。

「俺は率直に悔しい」「自分のヌルさに反吐が出る」と感想を綴っている。大きく触発されているはずだ。

後藤正文〔PHOTO〕gettyimages