Photo by iStock

『半分、青い。』ヒロインの「田舎っぽさ」にやられるオジさんが続出

すっかり骨抜きに…

放送中の朝ドラ『半分、青い。』の主人公・鈴愛は不思議な子だ。飛び抜けて美人ではないけれど、見れば見るほど可愛く思えてくる。すっかり骨抜きにされたオジさんたちが、その魅力を熱く語る――。

素朴だからいい

「なんといっても、いちばん魅力的なのがあの『きょとん顔』です。目を見開き、口を半開きにして、まるで『ほけ?』とでもいうような表情がいいんですよ。

現代っ子と違って、鈴愛は自分の感情をわかりやすく顔に出す。あんな顔をして、『ふぎょぎょ?』とか『やってまったー』なんて言われたら、可愛くてたまらないですよね」(明治大学教授の齋藤孝氏)

齋藤氏のみならず、いま日本中のオジさんたちがNHK連続テレビ小説『半分、青い。』(月~土・午前8時~)の主人公・楡野鈴愛に夢中になっている。

岐阜県の東濃地方に生まれた鈴愛は、小学3年生で左耳の聴力を失うものの、大胆なひらめきと行動力で自分の人生を切り開いていく。

そんなエネルギッシュな少女を好演しているのが、18歳の永野芽郁だ。

1971年生まれという設定の鈴愛は、高校卒業後に一度は地元の農協への就職を決めるも、漫画家・秋風羽織(豊川悦司)にあこがれて弟子入りを志願し、上京。まだバブル真っただ中の東京で、下積み生活を送る。

たまたま見た鈴愛の姿に惹かれ、以来毎朝欠かさず視聴しているという元横綱でタレントの花田虎上氏が力説する。

「私と鈴愛ちゃんは同い年にあたるので、ドラマで描かれている年代と自分の修業時代がピッタリ一致していて懐かしいなと思う部分があるのですが、とりわけ鈴愛ちゃんのキャラクターは『ああ、こういう娘、いたいた!』と思わせてくれる素朴な魅力がある。最近は小学生の娘と鈴愛ちゃんの岐阜弁の真似ばかりしています」

鈴愛は前髪を眉の上でそろえて、後ろ髪は2つ結び。服装も野暮ったく、花田氏の言う通り、なんとも垢抜けない「田舎っぽさ」を漂わせていて、洗練とはほど遠い。だが、その素朴さこそが、オジさんたちの心を捉えて離さないのだ。

「久々に『昭和のヒロイン』の王道を行くような子が現れたな、と思います。ドジだけど、いつも前向きで、屈折していない。私もふくめて、あの時代の妙に明るい空気感を体験した人間には、グッとくるものがあります。

よく考えると、18歳で昭和をまったく体感していない芽郁ちゃんがそれを見事に再現しているのは、恐るべきことです」(ドラマの経済考証を担当した小宮一慶氏)

 

『ちりとてちん』や『ゲゲゲの女房』など、数々のヒット朝ドラの演出を担当し、今作では制作統括を務めているNHKの勝田夏子氏が言う。

「物語の序盤では、'80年代のいま見るとややダサめの格好をさせていたこともあり、地味な子に見えていたかもしれません。でも、垢抜けていないように感じたとすれば、それは彼女がこちらの意図に応えて、鈴愛という役柄にしっかり照準を合わせてきた証拠です。

彼女の魅力はなんといっても『表情の力』。物語に起伏が出てくる今後は、ますます鈴愛を好きになってもらえると思います」

永野の「表情力」が最大限に生かされていたのが、高校を卒業して農協への就職が決まり、家族や友人たちからお祝いしてもらうシーンだ。

集まった人々が、鈴愛の祖父(中村雅俊)の奏でるギターに合わせてザ・フォーク・クルセダーズの名曲『あの素晴しい愛をもう一度』を合唱するのだが、その間に鈴愛の表情はめまぐるしい変化を見せる。

「最初、鈴愛は歌を楽しみながら朗らかに笑っているのですが、そのうち歌詞に誘われるように幼いころの思い出を振り返り、しんみりとした気持ちになる。

そこで、ずっと一緒だった幼馴染の律(佐藤健)の顔を見つめてこらえきれなくなり、じんわりと目に涙を浮かべる。わずか2分あまりの時間で、鈴愛の胸に去来する感情を、表情だけで見事に表現しています。

おそらくあのシーンは、中村さんたちが歌い上げるなかで一発撮りしたものでしょう。演出の要求に見事に応えた彼女はあっぱれです」(元毎日放送プロデューサーで同志社女子大学教授の影山貴彦氏)