Photo by iStock

働き方改革論争、野党のなかでどこが一番「マシ」だったか

足並みが、そろっていないが…

まともな修正案もださずに

「働き方改革」における与野党合意が進められているが、肝心の野党間での認識にズレが生じているようだ。

5月21日、自民、公明両党と日本維新の会、希望の党はいわゆる「働き方改革関連法案」の修正について大筋で合意した。

与党は野党の一部の賛同を取りつけることで今国会中の法案成立を目指しているが、立憲民主党、国民民主党および共産党は「長時間労働を助長する」として批判を続けるなど、野党間の足並みはそろっていない。

 

このことは、仮にも労働者のためにあるはずの国民民主党や立憲民主党に、働き方改革をリードする政策能力がないことを裏付けてしまったともいえる。

どういうことか。当初、政府与党が目指した働き方改革は、(1)残業上限時間の設定、(2)高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)の設置、(3)裁量労働制拡大の3本柱だった。

(1)は過労死対策なので、与野党ともに異論はなかった。問題は(2)と(3)で、(2)は一定の年収以上であれば残業時間の制限などがなくなるものだが、労働基準法の適用除外が拡大するとの懸念があり、(3)は残業代の頭打ちにつながるとして、野党はそれらの削除を要求していた。

また、(3)については、労働時間に関する調査データの不備が見つかり、政府与党は今年の3月に取り下げた。

残る争点は(2)の高プロ制度の設置である。

政府与党は、その対象者として、「年収1075万円以上」を打ち出した。だが、世論の過労死問題への関心の高まりを受け、野党はこの適用除外を「過労死法案」「残業代ゼロ」として批判。野党側からすれば、やがて「年収1075万円」という基準が引き下げられ、ほとんどの労働者に労働時間の適用除外が拡大するとの見立てがあったのだろう。

しかし、ここで流れを変えたのが、日本維新の会の修正案だ。もともと高プロ制度は労働者の同意を必要とするものであるが、適用後に本人が考えなおしたとき、適用を解除できるようにした。これは労働者に寄り添った修正案といえよう。

 

今年4月から5月にかけて、立憲民主党、国民民主党や共産党は、森友問題などを理由に国会を「18連休」した。その間、働き方改革についてまともな修正案を出すこともなかったために、国民には野党がただ国会をサボっているようにしかみえなかった。一方、審議拒否しなかった維新は、法案を研究してしっかりと審議の成果を示せたわけだ。

たしかに高プロ制度に労働者側の逃げ道がなければ、不当な処遇を受ける人も出てくるかもしれない。だがこの制度に「出入り自由な道」があればロジカル的にも破綻はなくなる。

そこで今回のような、与野党の弾力的な合意が生まれたのだ。このような急展開に際し、「18連休」を終えた立憲民主党、国民民主党や共産党は対応が間に合わず、蚊帳の外になってしまった。

欧米でも高プロ制度のような労働規制の適用除外がある。欧米における適用除外対象者の労働者に対する割合は、米国で2割、フランスで1割、ドイツで2%程度だ。日本で「年収1075万円」以上は4%程度というから、高プロ制度の導入は世界から見れば当たり前で、むしろ遅すぎたくらいだ。

『週刊現代』2018年6月9日号より

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら