〔PHOTO〕iStock

日本政府が「本格的な移民政策」に踏み出したと言える理由

画期的な新方針の「3つの課題」

時代遅れの外国人受け入れ政策

人手不足を背景に外国人労働者が急増している。2017年12月の厚生労働省の発表では128万人を数え、過去最大となった。しかし、日本政府は「移民政策をとらない」と明言してきた。

政府のこの主張は外国人の定住を認めないということではない。実は大卒者、ホワイトカラーの分野について日本の外国人労働者の受け入れはアメリカよりもはるかに開かれている。

日本人がアメリカの大学に留学し卒業してもアメリカの企業で働く労働ビザが出ないことはきわめてよく聞く話である。アメリカの就労はトランプ政権以前からも厳しく規制されていた。

一方、日本の場合はどうか?

日本の大学を卒業した外国人が国内で働こうとした場合、ほぼ問題なく就労可能なビザが発行される。

日本の大学の卒業生ばかりではない。海外の大学の卒業者であっても、受け入れ先の企業が決まっており、求める職能にふさわしい学部の卒業生であれば日本では働くことが可能である。

東京のビジネス街には、現実に何万人ものホワイトカラーの外国人が働いている。そして彼らは日本で10年間、継続して働けば永住権を得る資格を申請することもできる。

〔PHOTO〕iStock

では政府が主張してきた「移民政策をとらない」とは何を意味するのだろうか?

それは、大卒者以外の外国人労働者の雇用を原則として認めず、またその結果、定住を認めないことを意味する。現場労働、いわゆる単純労働の分野の外国人の就労を認めないということである。

しかし、現在、人手不足が最も厳しいのはこうした分野、例えば、農林水産業や製造業、サービス業、建設業である。

日本では毎年公立の小中高校が500校を越える勢いで廃校となるほど若者の減少は続いている。今後、さらに少子化が進むことが想定されており、現場労働の分野で今後、日本人の就業者が増える可能性はゼロに近い。

 

ではなぜ単純労働の分野で外国人の雇用が認められてこなかったのか?

それは時代認識のギャップがあるためと考えられる。

日本の人口が増加していた時代には、いわゆる単純労働の分野は人手が余り、日本人の間で職の奪い合いが起こっていた。

一方、大卒者の数は限られ、産業の高度化を達成するためにも海外からの人材が必要とされていた。

しかし、時代は様変わりした。

少子化が進んだ現代では若者の大学進学率が上昇するとともに、過酷な現場で働くことを忌避する青年が増え、その結果、いわゆる単純労働といわれる分野の多くは継続的な人手不足が発生している。

政府はそうした分野はロボットやAIの導入で人手不足を目指すとするが、実際に起こっているのは人手不足による倒産である。帝国データバンクによれば、2017年度の人手不足倒産は初めて100件を越え、2013年度比で2.5倍に増加した。