置き去り犬「めぐちゃん事件」愛犬家の漫画家が憤った判決の理由

犬は「物」でしかないのか
折原 みと プロフィール

元の飼い主の所有権が勝利

裁判が継続している間はネット上に経過を公開することはできなかったのだろう。その後、めぐちゃんがどうなったかはわからず、ずっと気になっていた。そして、つい先日、ニュースでようやく裁判の結果を知ることとなった。
 
判決は、めぐちゃんを保護した主婦、Aさんの敗訴

犬を置き去りにしたのは本人ではなく交際相手の男性だったこと。遺失物法が定める期限内に遺失物届を出していたことなどから、東京地裁は「元飼い主が犬の所有権を確定的に放棄したとまでは認められない」と判断。Aさんは控訴したものの、東京高裁も一審判決を支持した。2018年4月下旬、Aさんの元へは、元飼い主の女性からめぐちゃんの返還を求める内容証明が届いているという。
  
動物は、法律の上では『物』としか扱われないの?
 
この判決には、多くの愛犬家が疑問や憤りを感じたことと思う。私もその一人だ。
めぐちゃんをめぐる関係者の方たちに対して、どちらが「正しい」「悪い」と論じたいわけではない。納得できないのは、この裁判の中で、めぐちゃんが命ある「生き物」ではなく、「物」のように「所有権」を争われたことだ。

本当に、法律上、動物は「物」でしかないのだろうか?

 

いや、一概にそうとは言えない。「動物愛護管理法」という法律があるはずだ。正式には、「動物の愛護及び管理に関する法律」は、動物愛護(虐待防止、生命尊重)と動物管理(動物により人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止すること)を目的としている。

この法律によると、愛護動物(牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、うさぎ、鶏、家鳩及びアヒル。人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの)をみだりに殺したり傷つけたりした場合は、2年以上の懲役又は200万円以下の罰金。虐待や遺棄した者も、100万円以下の罰金に処されるなど、さまざまな罰則が定められている。
 
では、どうしてめぐちゃんをめぐる裁判では、前述のような判決が下ったのだろうか。勝浦総合法律事務所の坂本一真弁護士にお話を伺ってみた。
 
残念ながら、今回のケースの場合、犬が『物』であることが大前提になっています。元飼い主が遺失物届を出している等の事情から、あくまで所有権は元飼い主にあると認められたことになります。保護した方は、犬を助けようとして拾ったとしても、直ちに所有権を獲得できるわけではないので
 
端的に言うと、めぐちゃんは「遺失物」だから、所有権を持つ元飼い主に返さなければならないということだ。