生活保護家庭の子どもは大学進学ダメ…?日本の貧困と教育格差の現実

では、どうすればいいのか?
大西 連 プロフィール

大学生の半数が奨学金を利用

日本学生支援機構の調査(平成26年度学生生活調査)によれば、現在、大学生(昼間部)のなかで約51.3%と、利用している人は大学生の半数を超えている。

文部科学省作成の「奨学金事業の推移」によれば、奨学金を借りている人(貸与人員)は平成29年度で134万人(うち無利子52万人、有利子82万人)となっており、平成10年度が50万人(うち無利子39万人、有利子11万人)であることを考えると、この16年間で奨学金を借りる人が約2.6倍に増加していることがわかる。

そして、平成10年度と平成29年度を比較して無利子の奨学金利用者は39万人から52万人と増えているのがわかるが、有利子で借りている人は11万人から82万人へと爆発的に増加している。

平成10年度の授業料等は先ほどのグラフでみても国立大学で約47万円、私立大学で約77万円であり、たしかにこの20年で授業料等は増加しているものの、それ以上に、これだけ奨学金の利用者が増えていることを考えると、多くの家庭で進学のための費用等を用意するのが難しくなっている状況が推察できる。

また、先述した日本学生支援機構の調査(平成28年度学生生活調査)によれば、大学昼間部に通いアルバイトに従事している学生のなかで、「家庭からの給付のみでは修学不自由・困難および給付なし」と答えたのは36.0%であり、アルバイトをしないと生計をたてられない学生が多くいることがわかる。

そして、同調査の平成26年度の結果では(平成28年度ではまだ公開されていないため)では、大学昼間部に通う学生の家庭の平均の年間収入額は824万円と比較的高く、24.4%が家庭の年収が1000万以上である一方、家庭の年収が200万円以下の割合が10.9%であり、同200万円~400万円の割合は15.3%であるなど、低所得の家庭が多いことや、家庭ごとの所得の格差が大きいことが明らかとなった。

学費の高騰や家庭の低所得化により、奨学金を借りる学生が増え、各家庭の家計や仕送りは厳しくなっているのが実情でしょう。

 

「奨学金」を返済できない学生が増加中

近年、奨学金の滞納についても問題化している。

平成28年度末時点で返還をする必要がある410万人のうち、1日以上延滞しているのが約34万人、3ヵ月以上は約16万人となっています。

そして、なぜ延滞したのかという問いに対しては、複数回答において69.2%が「家計の収入が減った」、次いで43.0%が「家計の支出が増えた」であり、経済的な要因により延滞者が増加していると言える(平成28年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果)。

無利子の奨学金は総額で平均237万円、有利子でも343万円とも言われる金額であるので(いずれも日本学生支援機構より)、少なくない借金額であることは言うまでもない。

そして、大学卒業後に例えば、非正規労働で働かざるを得ず、低所得になってしまう、などの問題も存在するだろう。

平成24年度総務省就業構造基礎調査に基づき、大卒の初職(卒業後にはじめて就いた仕事)就業時の雇用形態をみると、平成19年卒業で1年未満に初職についた人で非正規の割合は13.8%、また、平成24年の卒業から1年未満に初職についた人の非正規の割合は、24.3%と、大卒の非正規率は急激に上昇している(平成24年度総務省就業構造基礎調査の表167より筆者集計)。

大学(昼間部・4年制)を卒業しても非正規で低所得になる学生が一定数存在する。そうすると、当然、奨学金の返済に困る可能性は高くなる。

それは、生涯賃金を考えれば明らかだ。

この図は、生涯賃金を学歴と性別で整理したものだが、高卒で非正社員の女性は生涯賃金が1億円であるのに対して、大学・大学院卒の男性で正社員だと2億7000万円と大きな差がある。

同じ大卒でも、男性の非正社員では1億5000万円であり、学歴が同じでも正社員、非正社員で大きな差が出ることがわかる(学歴による差も顕著である)。

このように、正社員、非正社員であること、また、高卒と大卒以上で生涯賃金に統計的に差が出やすくなってしまうことは現実的な問題としてのしかかる。ある意味、借金をしてでも大卒になり正社員を目指した方が高い生涯賃金を手にする可能性はある。

しかし、残念ながら大卒で非正社員になり低い生涯賃金となってしまう人もいる。

そういった、難しい、苦しい、大きな選択を、私たちの社会は、まだ18歳の子どもに課していると言えよう。