生活保護家庭の子どもは大学進学ダメ…?日本の貧困と教育格差の現実

では、どうすればいいのか?
大西 連 プロフィール

そして、こういった「生活保護家庭の子どもの大学進学」の問題について論じていると、必ず出てくる論点として、生活保護を利用していない世帯との「バランス」という話が出てくる。

これは、国会での議論でも同様で、生活保護利用世帯でない低所得者世帯との「均衡」という言葉がたびたびでてきた。

本稿では、そもそも大学等(主に4年制大学について論じるが)への進学について、大学無償化を目指すべきなのか、給付や貸与の奨学金の拡充で目指すべきなのか、また、どのような進学への支援が必要であるのか、現状をひもときながらを考えていきたいと思う。

 

そもそも、貧困家庭の子どもは大学に行きにくい

現在、日本では、子どもの貧困率は13.9%(2015年厚労省国民生活基礎調査)であり、7人に1人の子どもが貧困状態にある。7人に1人というと30人のクラスでは4人~5人の子どもが貧困家庭で育っていると言える。

ユニセフの報告書によれば、日本の子どもの貧困の状態は国際的に見ても先進国のなかでは深刻な状態にある。

・健康、教育の分野では比較的良い結果(それぞれ40カ国中8位と41カ国中10位)だったが、子どもの貧困では23位(37カ国中)、格差では32位(41カ国中、つまり格差が大きい方から10番目)
・社会移転による子どもの貧困率の削減幅は31 位(37カ国中)
・教育については、基礎的習熟度に達する子どもの割合では2位(38カ国中)だった一方で、社会経済階層による学力格差を示す指標では26位(39カ国中)
・若者(15-19歳)の自殺率は26位(37カ国中)
(ユニセフ『レポートカード14』より)

特に「社会経済階層による学力格差を示す指標では26位(39カ国中)」というのは衝撃的だ。

要するに低所得の家庭の子どもと高所得の家庭の子どもとで学力格差があると言うことだが、これは上記のような低所得者の進学が容易ではない社会環境が多分に影響していると考えてよいだろう。

大学授業料はこんなに高騰してきた

日本社会の特徴としては、高校までは授業料の無償化などのさまざまな施策等により何とか進学ができても、大学進学には大きなハードルが立ちはだかる。

以下のグラフは大学の授業料の推移をあらわしたものだ(文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より筆者作成)。

1975年は、国立大学の年間の授業料が36000円であり、私立大学は18万2672円。

しかし、2003年には、国立大学は52万800円、私立大学は81万7952円と、急速に費用が高くなる。

その後、授業料の高騰は落ち着くものの、2016年時点では国立大学が53万5800円、私立大学は87万7735円と高い状態が維持されている。

これは、端的に言えば、この40年間での公的な負担額が減少し、個々人、各家庭が大学進学に関して大きな負担を強いられている状況をあらわしている。

これはあくまで平均の値段であるから、当然、実験等をおこなう学部や、フィールドワーク等が必要な場合は、これ以上の出費を求められる。

学生によっては選択できない授業がでてくることもあるだろう。こういった出費が必要なことを前にして進学を諦める子どもも一定数いるであろう。

学習意欲はあって金銭的な理由で高等教育(大学等)への進学をあきらめてしまう。そういった子どもが存在してしまう社会、というのが今の日本の状況だろう。

もちろん、経済的には苦しい家庭でも、何とか進学したいと思う子どももいる。奨学金の実態を見てみよう。