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仲間に裏切られ左遷になった人は、どんなメンタルで働くのが正解か

人事異動で立ち直れない人たちへ

6月は多くの企業で人事異動のある季節。仲間から足元をすくわれて不本意な人事となった例も多く聞く。社内の人間なのに蔭で足を引っ張る人に共通することは何か。そしてそんな不本意な人事に遭遇したあと、どのような気持ちで仕事をすればいいのか。ベストセラー『他人を攻撃せずにはいられない人』をはじめ、臨床経験をもとにした多くの著書を刊行している精神科医の片田珠美さんが分析する。

 

なぜ蹴落とそうとするのか

わざと足を引っ張る人はどこにでもいる。なぜこんなことをするのかといえば、何よりも自己保身のためである。自分の失敗を同僚のせいにすれば、自分は責められなくてすむと思うからこそ、事実を歪曲して同僚こそ失敗の責任者であるかのように上司に報告する。あるいは、業績をあげている同僚の悪口を上司に吹き込んで、この同僚が飛ばされれば、自分が昇進できるかもしれないと思うからこそ、「あの人は横領している」と告げ口する。

このように自己保身のために他人を蹴落とそうとするのは、ある意味ではわかりやすい。業績をあげている同僚が飛ばされたら、自分の立場が少なくとも今よりは良くなると本人は考えるのだろう。だからこそ、上司に告げ口するわけで、何らかの利得を期待している。

ただ、自分の利得のためだけに他人の足を引っ張るわけではない。必ずしも利得が得られるわけではなくても、他人の足を引っ張る人はいる

そういう場合、しばしば次の3つの心理がからみ合っている。

①    羨望

②    嫉妬

③    他人の不幸は蜜の味

まず、①羨望を抱いた後輩に足を引っ張られて、降格の憂き目に遭った女性社員の事例を紹介しよう。

親しく何でも話していた後輩が…

30代のAさんは、いつも同じ大学出身の後輩の女性社員と一緒にランチを食べていた。Aさんは、同期の女性社員の中で最初に主任に抜擢されたので、上司に自分の能力を認めてもらっているという自負もあったし、仕事にやりがいを感じてもいたのだが、部下の中には自分より年上のパートのおばちゃんもいて、やりにくいこともあった。そのため、あいづちを打ちながら静かに聞き、ときには「先輩は私の憧れです」などと言ってくれる後輩に愚痴をこぼしたり、新しい企画について相談したりすることが、息抜きになっていた。

「先輩に憧れる」と言ってくれる同窓の後輩は気を許してランチができる相手だったが…Photo by iStock

やがて、Aさんは、直属の上司から、ささいなことで厳しく叱責されるようになった。一体何が起こったのか理解できず、上司から受けた仕打ちに対する不満や怒りを例の後輩にぶちまけたこともある。

ついには、「君には、部下を指導する力がない」と言われ、ただの平社員に降格させられた。理由について尋ねても、納得する説明が得られなかったので、すっかり自信を失って落ち込み、出勤しようとすると吐き気がするようになった。

しばらくして、例の後輩が主任に昇進し、おまけに自分が企画を出していたプロジェクトの責任者に任命されたことを知らされた。そのときやっと、なぜ上司の態度が急に変わったのか、わかったという。