メガバンクの「大リストラ計画」で余った人材はどこへ行くのか

銀行以外でも他人事ではない
加谷 珪一 プロフィール

課題2:業務の自動化による余剰人員の発生

この状況に追い打ちをかけたのが業務の自動化である。世の中ではAI(人工知能)がブームとなっており、近い将来、AIによって多くの仕事が消滅すると言われている。だがこの話はあくまで将来の話であって、すぐにAIによって仕事がなくなるわけではない。

だが、AI化の前段階ともいうべき動きはすでに顕在化しており、ソフトウェアを使った定型業務の自動化が急速に普及しつつある。これはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるもので、既存システム上での操作をソフトに覚えさせ、一連の業務を自動化していくという手法である。

操作の自動化によって、今まで数人で行ってきた事務作業を1人で実施出来るようになるので、ここでも人材が余る結果となる。RPAは定型業務の自動化にもっとも効果を発揮するが、銀行は定型業務比率が高く、真っ先に導入が進んだ。

しかし、銀行以外の一般企業でも、一部を除けば業務の大半は定型的なものといってよい。経営陣が本気で自動化を考えた場合、かなりの割合の社員が不要となる可能性がある。卸売業や販売業など、問題解決型ではなくルーチン型の仕事が多い業種においては、この動きが一気に進むかもしれない。

 

店舗網が縮小されていく

メガバンクは人員削減と平行して、店舗網の大幅な縮小も計画している。

メガバンク各行はこれまで多額のコストをかけて巨大な店舗網を維持してきたが、ネットバンキングの進展によって来店する顧客数は10年間で4割近くも減少した。つまり、店舗そのものがビジネスにおいて不要な存在となりつつあるのだ。

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今年4月、三菱東京UFJ銀行は三菱UFJ銀行に行名変更を行っているが、それに伴って各支店における大形看板の扱いを全面的に見直している。

これまで銀行の店舗には、ビルから突き出す形で大形の看板が設置されていたが、同行では行名変更をきっかけにこうした看板の多くを撤去した。街中で支店への来店を促す必要がなくなったことが最大の要因であり、これは銀行のビジネスのあり方が根本的に変わった事を意味している。

他業種でも、各地域に支店や営業所をたくさん抱えているところは多いはずだが、業務のネット化が進めば、こうした店舗の多くが不要となる。マーケティングもネットで行われるようになるので、路上で不特定多数の人に認知してもらう必要もない。

かつては支店網を維持するため、定型業務に従事する社員を大量に配置する必要があったが、業務の自動化に伴ってこれも省力化できる。支店網、営業店網を抱える業種は、同じような状況に陥る可能性が高いだろう。