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メガバンクの「大リストラ計画」で余った人材はどこへ行くのか

銀行以外でも他人事ではない

メガバンクが前例のない規模でリストラ計画を進めている。メガバンクが直面している課題は、あらゆる日本企業に共通したものであり、たまたま銀行業界で早期に問題が顕在化したに過ぎない。メガバンクの現在は、すべての日本企業における5年後の姿とみてよいだろう。

以下では、銀行が直面する課題を取り上げ、他の日本企業にどう波及するのか考えてみたいと思う。

 

課題1:人材のミスマッチ

メガバンク各行は昨年、大規模なリストラ計画を発表した。三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人分の業務量削減、三井住友フィナンシャルグループは4000人分の業務量削減、みずほフィナンシャルグループは1万9000人の人員削減となっている。

みずほ以外の銀行は人員削減ではなく、業務量の削減となっているが、業界ではそのようには受け止められていない。各行とも、大規模な人員削減を狙っているのは明らかである。

これだけ人手不足が叫ばれている中、なぜ人員削減に踏み切る必要があるのか不思議に思った人も多いかもしれない。だが一連の人員削減の背後には構造的な要因があり、他の日本企業にとってもまったく同じことが言える。それは、人は足りないのに、欲しい人材がいないという、いわゆる人材のミスマッチである。

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社会の成熟化やIT化に伴って金融ビジネスのあり方が激変しているが、行員の大半は従来型の業務に慣れ親しんだ人ばかりで、時代の変化に対応できていない。

銀行としては、新しい試みを次々と実施したいところだが、新しいビジネスに対応できる人材は限定的だ。このため全体としては人手不足という状況でありながら、社内では人材が余るというミスマッチが生じている。

新規事業に対応するため中途採用も増やしているものの、旧態依然とした行員が多いと、せっかく外部から人材を登用しても新規事業はスムーズに進まない。この結果、新規に採用した分だけ人件費が増えるという困った事態が発生してしまう。

三菱東京UFJ銀行を例に取ると、同行の生産性(1人あたりの経常収益=一般企業の1人あたりの売上高に相当)は5年間で 2割以上落ち込んでいる。このままでは人件費が収益の足を引っ張るのは確実な状況であり、これが大規模なリストラを決断させた。

多くの日本企業が、売上高があまり伸びない中、従業員数だけが増えており、人件費の増大が経営の足かせとなりつつある。過去5年間で売上高があまり伸びておらず、その一方で従業員数が大幅に増えている企業は要注意である。人手不足であるにもかかわらず、人が余っているというのは、あらゆる業界に共通した課題なのである。