福澤朗が明かす「日本テレビ、なぜ強いか」

てれびのスキマの直撃インタビュー前編
てれびのスキマ

摩擦力

――現在、福澤さんは『真相報道バンキシャ!』のキャスターもなさっていますね。

福澤 この番組が始まるときは、僕よりも菊川怜さんが批判にさらされていましたね。「何で菊川怜なの?」と。でも、僕はよく「ざらつき感」と表現しているんですけれども、視聴者がええっ?と言う部分に新しい鉱脈があるんだろうなと、最近ちょっと確信めいたものがあるんです。

報道番組で、このキャスターとこのアシスタントです。「ああ、さもありなん」というよりも、「えっ、何でこの人なの?」というほうがチャンネルが止まる。「えっ、こんな人をキャスティングしていいの?」というざらつき感があるほうが、それが摩擦力になって毎分視聴率が上がるんだろうなと思うんです。

福澤朗氏

――福澤さんご自身も毎分視聴率というのは意識されるんですか?

福澤 やっぱり五味さんからの薫陶が大きいです。ああ、今、このスタジオだれてるな、毎分落ちているなと、生放送の場合、いつも考えますもん。普通、キャスターや司会者がそんなこと考えなくていいと思うんですけど、生放送で、あっ、これ、今落ちてるなというのはだいたいわかりますね。

 

――それはどんなときなんですか?

福澤 緊張感がなくなっているときですね。やっぱり五味さんの影響を相当受けてます。無駄なワードを使わない。スタジオ展開部分を巻いて進めることは得意なんですけども、場合によっては、様々なトラブルの中で、すいません、急遽延ばしてくださいという指示が来る。僕、延ばしてくださいというスタジオが一番受け付けないんですよ(笑)。ダメだろ、ここ延ばしたらっていう。早く次に進めなきゃいけないのにって。

あと、毎分視聴率は必ずてっぺん(00秒)でカウントされるので、そのてっぺんに行く前に次のコーナーを始めとかなきゃいけないという、精神的な切迫感があります。この本で『世界まる見え特捜部』がワイプのある種の発祥だというくだりがあったじゃないですか。

――どうしても短く出来ない長いVTRのときに、なんの番組かわからなくならないように、苦肉の策としてスタジオの所ジョージさんやビートたけしさんが見ているという“アリバイ”としてワイプを使いだし、それが他の番組に波及していったと。

福澤 それは知らなかったので、すごく勉強になりました。よくディレクターやプロデューサーが言うのは、毎分のてっぺんのときにスペシャルゲストのワイプを抜くと。

――ええー! そんなに細かいんですね!

福澤 8時またぎとか、9時またぎとかは当たり前で、たとえば34分から35分になる50何秒で、誰々をワイプで抜く。“毎分またぎ”。当時、というか、今もそうですけど、日本テレビはそれくらい徹底してました。えげつないほどに毎分視聴率にこだわっていましたね。

たぶん、94年大晦日の『裏番組をブッ飛ばせ!!』の野球拳でも、脱がすタイミングはまたぎをかなり計算していたと思いますよ。勢いだけでやっているように見せて、計算高いのが日本テレビの番組ですね。

(明日公開の後編に続く。文中写真は文藝春秋撮影)

■福澤朗(ふくざわ・あきら)1963年、東京出身。1988年早稲田大第一文学部卒業後、日本テレビ入社。アナウンサーとして「アメリカ横断ウルトラクイズ」「とんねるずの生でダラダラいかせて !!」「ズームイン !! 朝 !!」など数々のヒット番組に出演。2005年にフリー転身。「真相報道バンキシャ!」「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)などのレギュラー司会を務める。
■戸部田誠(てれびのスキマ)1978年生まれ。2015年にいわき市から上京。ライター。ペンネームは「てれびのスキマ」。お笑い、格闘技、ドラマなどを愛する、テレビっ子ライター。『週刊文春』『週刊SPA!』『水道橋博士のメルマ旬報』などで連載中。新刊は日テレがいかに絶対王者フジテレビを逆転できたのかを描いた『全部やれ。』、主な著書に『笑福亭鶴瓶論』、『1989年のテレビっ子』など。