福澤朗氏(左)戸部田誠氏

福澤朗が明かす「日本テレビ、なぜ強いか」

てれびのスキマの直撃インタビュー前編

テレビ界の絶対王者だったフジテレビを日本テレビがいかに逆転したのかを描いたノンフィクション『全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方』が話題になっています。

88年に日本テレビに入社し、『アメリカ横断ウルトラクイズ』『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』などの伝説的な番組を担当。「ジャストミート」「ファイヤー」の流行語も生み出した福澤朗さん。フリーアナウンサーに転身した現在も『真相報道バンキシャ!』『エンタの神様スペシャル』など日テレの番組で活躍しています。

その福澤さんが“日テレのえげつない勝ち方”について、『全部やれ。』の著者・てれびのスキマさんに語ってくれました。

語尾を伸ばすな

――今日は日本テレビの強さの秘密についてお伺いしたいのですが、その始まりと言えるのが、94年に絶対王者だったフジテレビをやぶって年間視聴率三冠王になったことだと思います。

福澤 その頃の日テレは、ちょっとトランス状態でしたね。実は視聴率0.01%を巡る最終決戦である大晦日の『裏番組をブッ飛ばせ!!』に僕はサブ司会者として出演していました。表現は悪いけど、現場は殺気立ってましたね。陽気な殺気。お祭り状態なので、何をやってもスタッフもみんな盛り上がる感じ。

だからこの『全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方』にはその時の雰囲気や背景が全部書かれていて、一気読みでした! こんなにグイグイ引き込まれたルポルタージュは初めてですね。実際にこの本の登場人物に「あ、そうだ、こんなこと言われたよな」ってことも、書いてあるから色々思い出しました。

 

――例えば、どんなことですか?

福澤 いくつかあるんですが、たとえば五味一男さん(※『SHOW by ショーバイ!!』『エンタの神様』などを演出)が「サイレント・マジョリティが一番怖いんだ」という話はよくしてましたね。

――ネットなどに声をあげて批判する視聴者よりも、声を上げないふつうの視聴者=サイレントマジョリティーは「もっと厳しい判断」、即ち、「見ない」という判断をするということですね。

福澤 僕ね、五味さんに一番最初に言われてよく覚えていることがあるんです。『SHOW by ショーバイ!!』でまだ正式な司会者になる前、逸見(政孝)さんが闘病中のときにピンチヒッター役で1回か2回やらせてもらったんですが、そのときに五味さんに言われたのが、「福澤、『続いては○○のコーナーでーす』と(語尾を)伸ばすな」「『続いては○○のコーナーです。まず最初の問題はこちら』と(語尾を切って)振れ」と。

「続いては○○のコーナーでーす」と言うと、周りも「ワアーッ!」ってやりたくなっちゃうじゃないですか。これは時間の無駄なんだと。「続いては○○のコーナーです。最初の問題はこちら」とすぐ行けば、秒数がその分カットできるからと。あと、「『以上、○○のコーナーでした』と言うな」と。つまり、「以上」というのがザッピングチャンスになっちゃうから。

――はぁ、すごい! そんな細かいところまで。

福澤 あの方のテレビ理論は徹底してるんですよ。番組に切れ目を作るな。終わったらすぐ次のコーナーに振れ、と。「さあ、続いては○○のコーナーです。まず最初の問題はこちら」ということで、絶対チャンネルを換えさせない。

『エンタの神様』も然り。『エンタの神様』って通常のコント番組とは演出方法が全然違うんです。つまり、初めて今そのチャンネルをつけた人にも、どういうコントをやっているかがわかるような舞台セットで、さらに字幕スーパーを付ける。

それが一番明確に出ているのがたぶん、アンジャッシュのコント。今、右側の渡部さんは何々だと勘違いしている。左側の児嶋さんは何々と勘違いしている、というのを画面に出すわけですよ。そんな無粋なことしなくていいのになあと最初は思ったけど、やっぱりそれが小学生でも見られるお笑い、コント番組という五味さんならではの理論なんですよね。

あと、五味さんは全部、お笑い芸人さんの台本にペンを入れて。これ、説明がわかりにくいんで変えてくださいとか、このくだりは不必要なんでカットしてくださいというので、いわゆる芸術家タイプの芸人さんからは若干疎まれているらしいです(笑)。

ただ、『エンタの神様』に出ることによって翌月からのスケジュールが真っ黒になるという現実もあるわけですから、それはやっぱり背に腹はかえられない。五味さんは凄まじい男ですよ。