マツダの好調を支える「2%戦略」その秘密

人の意見をあえて聞かない
山崎 明 プロフィール

ソウルレッドの強さ

このコンセプトから最初に生まれたのが、2012年に発売されたCX-5である。

「魂動デザイン」という新しいデザインコンセプトを採用、単なる鉄の塊ではなく、生き物のような生命感を持ったデザインを追求した。メインのボディカラーには「ソウルレッド」という美しい赤を選択。エンジンはきわめてユニークな低圧縮ディーゼルエンジンをメインとし、デザイン・色・メカニズムとも日本車としては非常に独創的なモデルとなった。

デザイン決定に際しては、日本の自動車メーカーならどこでも行っている「クリニック調査」を廃止した。これは、発売前の新型車を一般の人に見せてその評価を聞くというもので、結果次第でデザイナーの意思に反してデザインが修正されることになる。廃止すれば、マツダのデザイナー自身がベストと考えるものをそのまま世に問うことになる。幅広い支持にはつながらないかもしれない。

 

しかし、マツダのデザインの思想に共鳴する人からは絶大な支持を集めることにつながる。これも、「2%戦略」があってこその決断である。

その後に発売された一連のニューモデルも魂動デザインを採用し、どのモデルも一目でマツダとわかるものとなった。メインカラーはみなソウルレッドである。世界各地で開催されるモーターショーも、黒の展示空間の中に展示車をすべてソウルレッドで統一し、どの会場でも、マツダの個性はひときわ目立つものとなった。

Photo by Gettyimages

ソウルレッドはマツダを象徴する色として、もっともよく売れるボディカラーとなった。ほかのメーカーは、売れるのは白と黒が圧倒的であり、赤というボディカラーはほとんど売れない。だが、マツダを買う客は赤を積極的に選んだのである。

このように、新しいブランド戦略に伴って大幅な販売戦略、価格戦略、商品戦略の変更を行い、その意図通りの販売の実現に成功しているといってよい。

はっきりとターゲットを絞ったうえでターゲットにとって魅力的な製品を提供し、販売価格を上昇させるプレミアムブランド化戦略を成功させつつあるのだ。

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