わが子をひきこもりから救った親がやめた「二つの行動」

不登校・中退者を支援するプロが伝授
安田 祐輔 プロフィール

第三者に頼っていい

「自分の子どもにはこうあって欲しい」という思いが強ければ強いほど、感情のコントロールが効かなくなり、効果的な言葉を発することができなくなるのだと私は思う。

けれども、子どもの頃を振り返ってみた時に、親の言うことを全て聞いていた人がどれだけいるのか。親がどんなに正論を言ったとしても、子どもは守らなかったりするのは、どの家庭でも変わらない。

だから、「第三者を頼る」と良いのだ。

お子様の通っている学校にはスクールカウンセラーがいるかもしれない。お住まいの自治体には不登校の方の相談窓口があるかもしれない。私が経営している「キズキ共育塾」のような、不登校・中退の方を対象とした塾も最近は増えてきた。

そのような場所にいる支援者は、家族でないからこそ過度な期待を持たず、「今の目の前の子どもが、どうアプローチしたら元気になれるのか」という1点のみを考え、子どもとコミュニケーションすることができる。

基礎的な支援の知識と、多数の過去の事例を経験している支援者であれば、的確な声がけの言葉を選ぶことができる。

注意しておきたいのは、専門家も人間であるから「合う」「合わない」が必ずあるということだ。だから、仮に始めに相談に行ったカウンセラーや支援者に対して「合わない」と感じたとしても、あきらめずに他の支援機関を探って欲しい。

「合う」か「合わない」かは「本人が少しでも安心できる時間を過ごせるか」「本人が行ってよかったと思えるかどうか」を見ればよい。本人が楽しそうに過ごせるのであれば、習い事などを試してみてもよいかもしれない。

学校は行かなくても何とかなる。不登校でもその後社会で活躍している人間はいくらでもいるが、一方で「嫌じゃない」と思える用事があった方が、子どもの心身の健康にとってはプラスになる。

 

「学校に行ってない」は特別じゃない

時代は確実に変わってきている。

「終身雇用」の時代は終わり、大企業に就職したからといって、一生雇われる保障はない。就職に際して、「いい大学に行けばいい就職ができる」と思い込んでいる親もいるが、今はベンチャーで実力をつけてそこからステップアップする方が、むしろ実力がついて「安定」するかもしれない時代だ。

親自身が生きている時代は、子どもの世代が生きている時代とは異なる。

親が思う正解を押し付けるよりも、子ども自身が第三者と様々な相談をしながら、自分の生きて行く道を探して行く――そのことこそが、不透明な時代を生き抜く子どもたちに必要な教育のあり方だと私は考えている。

私自身、父親のDVや一家離散など、まともな家庭環境で育つことはできなかった。社会人になってからも、うつ、ひきこもりも経験した。それでも、自分の弱さを第三者へさらけ出すことで、周囲の人々に支えてもらい、今がある。

拙著『暗闇でも走る』にも、ひきこもり生活が長引き、勇気をもってキズキ共育塾へ訪れる子どもたちの、道を拓くエピソードも書かせていただいた。

この本をきっかけに、「じつは、うちの子、学校に行っていないんです」「子どもが小学校高学年からひきこもりで」と、親御さんたちからの読書感想文や入塾の問い合わせをいただく機会が増えてきた。

それほど、今の日本には、誰にも相談できず一人悩む人が、何万人といることを実感している。

「子どもが学校に行かない」ことは、自分だけの特別な出来事ではない、と伝えたい。

安田祐輔(やすだ・ゆうすけ)1983年横浜生まれ。不登校・中退・ひきこもり・うつ・発達障害・再受験など、もう一度勉強したい人のための個別指導塾「キズキ共育塾」などを経営するキズキグループ(株式会社キズキ/NPO法人キズキ)代表。発達障害によるいじめ、一家離散、暴走族のパシリ生活などを経て、偏差値30からICU(国際基督教大学)教養学部国際関係学科入学。卒業後、大手商社を経て2011年に「キズキ共育塾」開塾。2018年5月現在、全国に5校(代々木・池袋・秋葉原・武蔵小杉・大阪)。著書に『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の塾をつくった理由』(講談社)。

【安田祐輔 出版記念トークイベント開催予定 参加者募集】
●6月12日(火)19:00-21:00
場所・主催:マザーハウス梅田 蔦屋書店 4th ラウンジ
詳細:マザーハウスホームページ参照
●6月19日(火)14:00 - 16:00
場所:Books&Cafe NABO(長野県上田市)
詳細:フェイスブック参照
●6月22日(金) 19:30-21:00
場所・主催:天狼院書店「Esola池袋店」STYLE for Biz
詳細:ホームページにて近日公開