祇園で火災を起こした三つ星割烹の「京都ならでは」の悲劇

ややこしい問題が次々と…
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二度と建て直せない

70年以上の歴史を刻んできた店と、地域の信頼を、一瞬にして失ってしまった千花。
だが、周囲からの白い目に耐え忍んだとしても、本当に難儀するのはこれからだ。

延焼したアパートや、消火活動のために破壊された空き家の保有者から、多額の損害賠償を要求される可能性があるのだ。

 

ハイペリオン法律事務所の加藤寛久弁護士が解説する。

「民法の『失火ノ責任ニ関スル法律』には、出火元になった人間に重大な過失がなかった場合は、不法行為による損害賠償責任を負わなくて良いと定められています。

しかし、バーナーを使って換気ダクトについた可燃性油の清掃を行っていたのが事実ならば、わずかな注意さえ払えば容易に出火を防ぐことができたと認定される可能性もあり、重過失があると認められて賠償責任を負うことになるかもしれません」

仮に、近隣との禊を済ませ、再建に目処がたったとしても、千花が同じ場所で店を再建することを阻む、祇園ならではの土地事情もある。

「現行の建築基準法では『接道義務』というものがあります。建物が路地の奥にある場合、その路地に2m以上の幅がなければ、建て替えができないんです。

千花さんにつながる路地は2mもありませんから、あの土地に再びお店を出すには、周囲の土地をすべて買いとるしかない。かなり難しいでしょう」(前出の不動産業者)

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これから待ち受けるややこしい事態に、夫婦で頭を抱えているに違いない。

「週刊現代」2018年6月2日号より