日本人コンビニ店員が、このまま「絶滅危惧種」になる可能性

外国人店員はすでに4万人超
芹澤 健介 プロフィール

留学生たちの“ジャパニーズ・ドリーム”

そもそもなぜ、これほど留学生が増えているのか。なぜ、彼らは多額の借金を背負ってまで来日するのか――。

その根本には日本政府が推し進める「留学生30万人計画」がある。日本をより開かれた国にすることを謳い、2020年までに30万人の留学生受け入れを目指すのが目標だ。

「優秀な留学生を獲得し、戦略的に国際競争力を高めるため」に入国審査を簡素化し、日本語学校などの外国人受け入れ法人へ補助金導入を実施している。一方では、彼らは労働力としても期待されているはずだ。

つまり、海外から見ると、日本は「留学ビザが取りやすく、勉強しながら働ける国」なのである。

日本を目指す若者にしてみれば、日本語を覚えてお金持ちになること、それが彼らの“ジャパニーズ・ドリーム”だ。

 

留学生が急増しているベトナムやネパールなどでは、「日本に行きたい」という若者を集めて送り出すブローカーが多く存在する。そうしたブローカーに手数料を払い、紹介された日本語学校に1年分の授業料を先払いするために、来日前に100万円もの借金を抱えるのである。

なかには実家の田畑を売って、親戚中から借金してまで来ている留学生もいる。「日本に行けば月に20万円は稼げる。借金は数ヵ月で返せる」と半ば騙されて来日する留学生も少なくない。

受け入れ先の日本語学校は、いまや全国に600校あまりが乱立する。もちろん教育機関として真摯に留学生と向き合っている学校もあるが、留学生からの搾取を目的としたような悪徳校も少なくない。“国際貧困ビジネス”とも言うべき、憂慮すべき事態が横行しているのも事実なのである。

その闇は深く、混沌としている。

キラキラとした夢を持って、いざ憧れの日本に来てみれば、深夜のコンビニで働いても月に12,3万円稼ぐのがやっと。生活はキツい。

深夜のコンビニでは酔っぱらいの客に絡まれることもある。朝の通勤ラッシュ時にはレジに行列ができて、日本人の客たちは無言で金を払い、商品を受け取っていく。人種差別的な暴言を吐かれることもある。

だが、彼らに話を聞いていると皆、「日本はいい国です」という。2006年まで内戦が続き、2015年には巨大地震に見舞われたネパールからの留学生などは、「日本は地震からもフッコ(復興)しているし、安全。夢みたいな国です」とまで言う。

“コンビニ外国人”はまだまだ増える?

いま、日本には約27万人の外国人留学生がいる。その数は今後も増えていくのだろうか――。

その疑問に答えてくれたベトナム人留学生がいる。

彼は日本語学校と大学に通っていた5年間、「ローソン奨学生」としてローソンで働きながら給付型の奨学金をもらっていた優秀な留学生だ。現在は東京大学の大学院で経済を学んでいる。

「いま日本には外国人が増えて困るという人もいますが、東京オリンピックが終わったらどんどん減っていくと思います」

そう考える理由も教えてくれた。

「1998年のソウルオリンピック以降、(夏季大会は)8回開かれましたが、開催国の成長率が前年と比べて上昇したのはアトランタ大会だけです。アトランタ大会を開催したアメリカは、大会後にIT革命が起こって経済成長を牽引したと言われていますが、いまの日本にそのような起爆剤は見込めません」

彼は流暢な日本語で理路整然と話を進める。コンビニには驚くような高度人材が埋もれている。

「ですから、おそらく東京オリンピックの後、日本は不況になります。現在の日銀の超低金利もオリンピック後には上昇する見込みで、企業の資金調達は困難になると思います。同時に日本はすでに労働人口が減り続けているので、外国人の労働力をうまく使わないと経済成長できません。

でも、外国人はきっと増えません。なぜなら日本は外国人労働者の受け入れ制度が整っていませんし、多くの外国人が『日本は不況だから稼ぐのは難しい』『人材不足で残業が多くなるのはイヤだ』と考えるからです。そうなると、より多くの労働力が減って、日本経済はますます傾いていくでしょう」