日本人コンビニ店員が、このまま「絶滅危惧種」になる可能性

外国人店員はすでに4万人超
芹澤 健介 プロフィール

現実として全時間帯で人手が足りない店舗もあり、業界内では「24時間営業を見直すべき」という声も出始めている。しかし、いまのところ大手各社が拡大路線を取り下げる気配はない。

業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は、雑誌の取材に対して「24時間営業は絶対に続けるべきだ」と明言し、「加盟店からも見直すべきという要望は上がってきていない」としている。

業界第2位のファミリーマートと第3位のローソンは、深夜帯に一定時間店を閉めたり、無人営業をするといった実証実験をはじめているが、業界トップのセブン-イレブンが「絶対に続ける」と言っている限り、深夜営業を取りやめることは難しいだろう。

店舗数もこれからまだまだ増えていくはずだ。ローソンは、2021年までには現在より4000店舗多い18000店舗まで規模を拡大する意向を示している。

そうした大手チェーンの拡大路線が続く一方で、現場では疲弊感が広がっている。

世田谷区でコンビニを経営するAさんも人手不足に悩んでいる。

「店の前にバイト募集の貼り紙を出して1年以上になるけど、まったく反応がない。平日の昼間なら960円、深夜なら1200円以上提示しても日本人はなかなか来ないんです。

これまで外国人を雇ったことはないけど、今後は考えていかないと店が回っていかない。(シフトに穴が空くと自分が対応するしかないので)自分の身体も心配です」

 

このように、コンビニで働く外国人スタッフが急増している一義的な原因は、現場の深刻な人手不足にある。ネット上では「外国人が日本人の雇用機会を奪っている」という論調もあるが、実態は違う。

大学生の甥に聞くと、「コンビニで働いている日本人の友だちはいない」そうだ。

「だってキツそうだし。同じ時給ならカラオケ店員のほうがラクそうじゃん」

ちなみに東京都の最低賃金は958円(2017年10月~)。737円の九州・沖縄地区と比べると200円以上の差があるが、コンビニの昼間の時給は、全国どの地域でもほぼ最低賃金からスタートという店舗が多い。

日本人が好まないアルバイトを外国人留学生が肩代わりしている実情が透けて見えてくる。人手不足に悩む現場からすると、外国人留学生はいまや貴重な労働力なのである。

「アルバイトは週に28時間まで」のはずが…

本来、留学生は「就労」することはできない。だが、実際には多くの留学生が働いているのはどういうことだろう。

実は、留学生のアルバイトは「資格外活動」として認められているのだ。実際、約27万人いる外国人留学生のうち約26万人が何らかのアルバイトをしている(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」2017年10月)。

しかし、留学生として入国している以上、その本分は「勉強すること」。もちろん無制限に働いていいわけではない。いわゆる出入国管理法で決められている上限は、原則的に“週に28時間まで”とされている。

夏休み期間などは週に40時間まで許されるが、基本的には1日平均で4時間まで。仮に時給1000円で計算すると、週に28時間働けば2万8000円。4週間で11万2000円の額面となる。

「なんだ、悪くないじゃないか」と思った人もいるだろう。

だが、多くの留学生は100万円を超すような借金を背負って来日している。その借金を返済しながら生活費を稼ぎ、寝る間を惜しんで勉強している留学生も少なくない。月に11万円の稼ぎで東京で暮らすのは難しい。当然、より高い時給を求めて、深夜帯のアルバイトが多くなる。

近所のナチュラル・ローソンで働いているスリランカ人のSさんも深夜帯で働く1人。朝8時にコンビニのバイトを終えると、通勤ラッシュの満員電車に乗って日本語学校へ向かう。

「最近はアルバイトと勉強が忙しくて昨日もおとといも4時間しか寝ていません。この生活が続くと思うとカラダがたいへん。日本に来る前は、日本の大学に入って日本で就職したいと考えていましたが、それはたぶん難しいです。勉強する時間もお金もない」

28時間以上働いていることを摘発されれば母国に強制送還される。だが、そのリスクを承知のうえで“出稼ぎ留学生”と化す者もいる。日本での学業を諦めて、借金とともに帰国する留学生も少なくない。

問題は、留学生たちは、なぜそれほど多くの借金を背負って来日するのか、である。