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安倍政権にノーを突きつける愛媛県知事「中村時広」とは何者か

二度の落選を経験した苦労人

二世議員でありながら、商社勤務を経て2度の落選を経験した苦労人。だからこそ「ノー忖度」な物言いができるのだ。

安倍にトドメを刺す男

JR今治駅は、人口15万人都市のターミナル駅としてはにぎわいをみせている。四国と本州を結ぶ主要な玄関口のひとつであり、広島県尾道市へ架かるしまなみ海道を、バスや自転車で渡る観光客がこの街に集う。

そのしまなみ海道へは、今治駅から北西に1.5kmほど向かうと突き当たるが、行程の途中にある丘陵地に建つ、広大な新築の校舎が目を引く。

加計学園獣医学部――今年4月に開校されたばかりの新しい学び舎を訪れると、職員や学生らしき人たちがちらほらと出入りしている。近所には学生用のアパートやマンションも次々と建てられ、にわかに学園都市の体を成しはじめた。

加計学園の職員や学生に罪はない。だが、安倍首相と理事長・加計孝太郎氏らの関係について、官邸の釈明で十分に真相が明らかになったと感じる国民はほとんどいないだろう。

「記憶にない」

「愛媛県職員が同席していたかはわからない」

5月10日、柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑は、「誠実に話したい」との事前コメントとはあまりにも裏腹な答弁に終始した。

森友学園問題における佐川宣寿前国税庁長官の「無回答質疑」が記憶に新しいが、今回はまるでそのデジャブのように映った。

 

政界のトップ層は知らぬ存ぜぬとダンマリを決める者たちのオンパレード。そんななか、ある男が突きつけた「ノー」は、まるで国民の声を代弁するかのようだった。
柳瀬はウソをついている――。

そう主張するのは、中村時広愛媛県知事(58歳)である。まず4月10日、「首相案件」発言を記録した愛媛県職員作成の文書の存在を認め、職員と会ったことすら「記憶にない」と言っていた柳瀬氏を痛烈に批判。そのうえで中村氏は「職員を全面的に信用している」と言い切った。

また、5月11日の会見後には、県職員が面会した日付が刻印された柳瀬秘書官の名刺と、職員の発言内容をまとめたメモを公表。柳瀬氏が「愛媛県職員に会ったかどうか定かでない」とした発言は虚偽であるとした。

俺にトドメを刺す男は、ひょっとするとこいつかもしれない。思わぬ刺客の登場に、安倍首相は気もそぞろだろう。野党は中村氏の参考人招致を求めているが、与党は頑として拒否している。

国会に呼び出したらなにを話すかわからないうえ、彼の言葉には説得力がある。

これまで全国区で名前が出ることの少なかった中村氏だが、地元・愛媛県民からの信頼は厚い。

「中村知事には、私たちの主催するイベントにサプライズゲストとして登場してもらったことがあります。比較的小さなイベントでも、地域振興になるならと積極的に出てくれる人です。

非常に気さくな方で、打ち合わせにも親身に応じてくれる人でしたね。県のスタッフの人も知事を信頼しているような雰囲気がある。少なくとも、裸の王様ではありません」(愛媛県の地域振興イベント関係者)