これから始める人も知っておきたい仮想通貨「焼け野原」の現実

政府は発展を後押しするというけれど
小島 寛明 プロフィール

金融庁の審査に向け、前向きに準備していたのに…

中国で仮想通貨の取引が活発だったこともあって、両替所はなかなか盛況だった。手数料はビットコインの売りと買い、いずれも10%に設定していた。2017年には、1年で2000〜3000万円ほどの利益が出たという。

「何兆円もの取引がある、ビットフライヤーやコインチェックのような大手取引所とは比べものにならない、小さな小さなニッチなビジネスではありましたが、それなりの手応えがありました」と、泉社長は振り返る。

 

一時は、多くの外国人観光客が訪れる全国の系列ディスカウント店にビットコインの両替所を出店する計画も検討していた。

2017年4月の資金決済法の改正で、仮想通貨の取引所は、仮想通貨交換業者として金融庁への登録が義務づけられた。

ビットエクスプレスも、8月に登録を申請したが認められなかった。法改正以前から、仮想通貨を交換する事業を営んでいたことから、コインチェックと同様に「みなし交換業者」として営業を続けながら、審査を受けることになった。

2017年秋ごろ、金融庁から、内部の管理態勢の整備や、顧客の資産保護の強化といった対策を求められたという。経営陣に金融業の経験者がいない点も指摘された。

仮想通貨の取引所の審査で、金融庁がもっとも重要視しているのは、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金への対策だ。

仮想通貨は、簡単に世界中に送金ができる一方で、違法な薬物や銃器の売買、テロ組織への送金などの違法な用途で使ったカネを「洗浄」するのにも使いやすい。便利さと危うさが背中合わせになっているのが、仮想通貨の特徴だろう。

このためビットエクスプレスは、マネーロンダリング対策で知られる海外のコンサルティング会社と契約し、地元の地銀OBを社外取締役に迎える準備も進めていた。

店頭では、客が提示したパスポートなどの本人確認書類を撮影して保存し、200万円以上の両替は受け付けないなど、最低限のマネロン対策も講じていたという。顧客とのやり取りは店頭で完結し、顧客の資金を預かることはなかった。

しかし、2018年1月26日、大手取引所コインチェックがハッキングを受け、580億円相当の仮想通貨が流出したことで、一気に「みなし業者」への逆風が強まった。

2月上旬、泉社長らは、東京・霞が関の金融庁から「呼び出し」を受けた。

金融庁の担当官は、沖縄から上京した泉社長に「自主的な廃業をお願いしたい」と告げた。

渡された文書は、2月25日までに「自主的」に廃業を届け出るよう勧告する内容だった。