日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題に関して、大騒動が収まる気配が一向に見えない。それどころか、当の日大側が火に油を注ぎ続けている格好だ。
5月22日、問題となっているタックルを行った当事者の学生が、単独で会見を行った。
そこでは、一言一言丁寧に言葉を選びながら、真摯に謝意と反省を自分の言葉で述べ、今後自分にはアメフトを続ける権利はないと言い切った。
また、自らの責任を明確に認め、一言も監督やコーチを責めたり、責任転嫁をしたりすることはなかった。
もちろん、彼の行ったラフプレーは絶対に許されることではなく、被害者の選手は大きな怪我を負っている。
スポーツのフェアプレー精神に反する悪質な行為であり、アメリカンフットボールという競技に対する冒涜でもある。その責任は大きい。
しかし、若干20歳の若者が会見で見せた痛々しいまでの率直で誠実な態度には、誰もが胸を痛め、そして彼の勇気と潔さを称えた。
一方、日大アメフト部の内田正人監督は、その3日前、被害を受けた関西学院大学に謝罪に赴いた際、空港で囲みの取材を受けた。
そこでは「すべて私の責任。弁解はしない」と述べ、具体的な点には何も言及しなかった。
一見、潔い会見のようにも見えるが、その実、具体的な質問への回答を姑息に避けているだけで、誠実さとはかけ離れた会見だった。
事実、場にそぐわない鮮やかなピンク色のネクタイや、「かんせいがくいん」を「かんさいがくいん」と終始言い間違えたことが、言葉の裏に隠した心情を如実に物語っていた。
真摯に謝罪をする気持ちが本当にあるのならば、このような失態は絶対にしないだろう。相手のことを何も考えず、自分のテレビ映えのことしか考えていなかったと言われても弁解はできない。
また、これまで長きにわたって定期戦を行ってきたライバル校の校名を、知らなかったとはどういうことだろうか。
さらに酷かったのは、当該学生による会見の翌日、急遽行われた内田監督と井上奨コーチによる会見である。
この日はさすがにグレーのネクタイで、冒頭深々と頭を下げたが、まずタイミングが遅すぎる。囲み取材よりも、学生の会見よりも、真っ先に指導者が会見を開いて謝罪や説明をするべきであった。
そして、会見の内容も唖然とするものだった。